タイの小島での人種差別体験と差別・暴力・憎しみ合いの連鎖の回避について

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電車の中で泥酔したイギリス人男性が日本人女性に悪態の限りをついて差別発言を連発、
「第二次世界大戦時に、クウェー川で自分の叔父が殺されたんだよ。日本兵たちに拷問されたんだ。俺?俺は英国人だ。あんたらは嫌な奴らだよ、嫌な奴等らだ」
「お前等は第二次世界大戦で負けたじゃねえか!列車から降りろ。さっさと降りろよ!俺の国から出て行け!」
「俺の親戚を二人殺されたんだよ!」
等々と暴言を吐いている動画をYouTubeで観ました。

e0296801_00313565.jpgその動画自体はすでに削除されているのですが、タイの某島でああいう目に遭ったことあるなあ。リゾートに来ているオーストラリア人とフランス人、ダイビングのインストラクターをしているニュージーランド人等の集団に。
まあ、私もそこにリゾートで行ったんですけどね、病中の静養で。
最初のうちに仲良くなったドイツ人のインストラクターとスウェーデン人の若い女の子二人組みの旅行者も、後からはバツの悪そうな顔をしながらだんまりを決め込んでいました。小さな島の、そのまた陸の孤島みたいな小さなビーチでしたからね。

e0296801_00132472.jpgタイなのに、私がツーリスト向けの中途半端なサンドウィッチなどには見向きもせずにタイ料理ばかり注文して食べているという冷やかしや、日本人の癖に英語を話せるのをプラウドしているとかいう、どういう被害妄想なんだかもよく分からない内容でからかわれ始めたのが事の始まり。
もちろん私の性格だからその場で「何が言いたいの?」と一、二度突っ込み返したら、その相手が日本人に英語でぴしゃっと反撃されるのを想像していないような世界の狭い若い白人インストラクターや中高年ヨーロッパ人観光客だったらしく、その都度、呆気に取られたような表情をされて、なんだか少し大げさに感じるくらいナイーブな感じで謝罪されました。別にそんなにきつい感じで言い返したわけではないんですけどね。

ところが基本、スキューバダイビングの免許を取りに来ている観光客が多いエリアだったものだから、そうした講習でボートツアーに日中インストラクター達と出掛けている間に西洋人同士の有色人種への差別意識に火がついたらしく(狭い隔離されたビーチなので、それ以外の彼らのレストランや宿での行動はほぼ丸分かりだった)、集団ヒステリー的な誹謗中傷の猛攻撃を受けることに。
私は病み上がりの静養に静かなビーチに秘島気分を味わうために来ていたつもりでしたから、ビーチの前にある珊瑚礁を素潜りして観賞するくらいで、スキューバツアーへの参加を考えるほどアクティブではなかったのも状況を悪くしていたと思われます。
もう具体的な内容なんてあったもんじゃない。まさにあの動画のような状態。私が宿のフロントにあるPCでメールを打っていたことや注文した料理の内容、寝ている時間が長いこと(病後なので当然だった)、レストランでみんなと喋らないこと(あからさまに悪態をつかれているから、段々どこのグループにも近寄りがたい雰囲気になっただけのこと)等々、もうなんでもいいから集団で一人の生意気なアジア人に弱音を吐かしてやろう、という感じで。

e0296801_00151581.jpg一人二人の男が言っているのなら言い返したけれど、家族連れのフランス人とかもお母さんが幼い娘と一緒になって便乗するふうで、悪態に参加していないドイツ人の老夫婦もレストランで私が話しかけると巻き込まれたくないのか席を移って行ってしまうような有様だったし、最初のうちに仲良く会話したドイツ人インストラクターやスウェーデン人からも避けられるようになったので、隔離された地理の狭いリゾート地で集団ヒステリーみたいな心理が小規模に働いている様子でした。
これはもう喧嘩するとか張り合うといった次元の状況ではない、という判断がつかないほど馬鹿じゃなかったし、身の危険を感じましたから、さすがの私でもそれから二三日でそのビーチを出ていったな~。

多分、煽るコアになっていた何人かに、たまたま選りすぐりの人種差別主義者が揃っていたのかも知れません。
そして、南国の離島のリゾート地という閉鎖的な環境で、そこの一番のお客様が西洋人の家族連れだった、つまり白人が殿様気分に浸りやすい環境でもあったわけです。
そこに一人で迷い込んできた日本人旅行者がいて、彼らを恭しく扱ってくれる同じアジア人であるタイ人の地元観光業者のようではなかった。対等に人間味丸出しで応対してくる。目障りだ、そういう感じだったのだと想像します。
この話を初めにSNS上の記事に書いたところ、ある女性の方が非常に聡明かつ的確に感じるコメントをくださいました。「アジアの秘境って日本人ほぼ行かないから白人コミュニティーが出来てるんですよね。彼ら長いバケーションでその間に一種の共同体になっている。個だと出来ないことが共同体になると出来てしまう。人間ってそんなものかもです...」と。


e0296801_00552241.jpgあそこまで露骨な体験は幸い他には記憶にありませんが、敢えて挙げるのなら、ずっと以前にバリのウブドでも近い経験がありました。
けれど、いっぺんに数十人単位の相手につるし上げにされるとかではなくて、スノッブなレイシストが入れ代わり立ち代わり登場する、という状況でしたから、その時は私が若気に至りで相手をかなり荒々しく脅してしまいました。
要するに外の世界を知らなくて勘違いしている連中の、アジア人に対する無知蒙昧故の偏見ですから、そこを逆手に取って私が堅気のアジア人でない物凄くやばい人間だと思い込ませれば過剰に危険意識を持たせるのも割合簡単で、相手は仔犬のように卑屈になるわけです。
私も今だったら絶対に同じことはしません。ただ、その時は女性連れだったから余計粋がってしまった(笑)。
そういう個人の軽挙妄動の積み重ねが世の中に争いの種をばら撒くのですから、そこまで意識せず、自分がやられたらやり返すとしか考えていなかった若い頃の恥ずべき過ちだと今は反省しています。

e0296801_00212475.jpgどちらの環境も、少なくともその周辺までは海外慣れしていない日本人が大勢来ていて、お金はばら撒いていくんだけど西洋人には妙にへこへこしてしまう、みたいな状況が多い地域だったと思います。
逆に日本人が普段から私しかいない、という環境で差別されたことはまずありません。
インドで暮らしていた頃は一般の外国人旅行者が来ないような場所に滞在していることが多かったので、そういうパターンも必然的に増えたのですが、日本人と向き合って会話するのは生まれて初めてだ、なんて言うドイツ人やイスラエル人相手なら、当然その場では私そのものが日本人というもののイメージの源泉であり窓口になるわけです。その場合には私の個性が比較的有利に作用するようです。


e0296801_00432255.jpgこうした被差別体験はもちろん気持ちのよい思い出ではありませんが、平和の国日本に住んでいて、マイノリティーへの迫害を日常さして意識もせずに行なってしまうような社会に生まれた自分にとっては、ある一つの教訓を与えてくれています。

やはり人種差別は人間性の問題そのものでもあるんですよね。人間の社会的精神の成熟度合いが試されるというか...。まあ、成熟していない私がこんなこと言ってもおこがましいんですが。
ああいう人種差別的な処遇を白人などから受けた瞬間は、思い出してみると、その場では「このオージーめ!」とか「ナチスの犬め!」とか、相手の国全体を罵倒するような言葉をついつい短絡的に叫びたい衝動に駆られたものでした。自分がそんな差別意識は当時も今も一切持っていないんですけどね。

「大小関係なく虐められたり虐めたりの経験(トラウマ)を持っていた人が大人になり気持ちの中では解消しているのに、何かあると加担してしまうというのもある」、と先述のSNS上のコメントと同じ女性の方が再び書き込んでくださったのですが、そういう要素は当然自分の中にもあると感じます。
ただ恐らく言えるだろうことは、自分に欠けたものがある、とはっきり自覚出来ている人はまだ歯止めの利く面があるのではないか、ということです。自身が社会のオーソリティーの側であると安心していて「自分はまともだ」としか思えない人間が一番歯止めが利かないんだと思います(笑)。

単純な話、誰しもいきなり見知らぬ誰かから殴りつけられたら、とりあえず条件反射で相手に殴り返すものでしょう。相手が機関銃を持っていて自分が丸腰である、パンチパーマにサングラス、ジャージ、刺青姿のヤクザに対して自分がコルセットをつけたヘルニア持ちの中高年であるなど、瞬時に互いの力の差が判別出来る場合はこの例のうちではありませんが。
言葉の暴力であっても、それが圧倒的な勢いであればとりあえず反撃してしまうのが一般的な人間の防衛反応ではあると思います。

e0296801_00245324.jpgですから、実際に自分の仲間や愛する人が、テロや空爆や戦場での戦闘で目の前で殺されたら、さぞかし人間は歯止めが利きにくくなるんだろうなあ、と簡単に連想出来る気が私はするのです。
頭を冷やす暇もない喧嘩の現場に至る前に、争いの種は摘まなければならないのでしょう。
私はインドではヨガや瞑想のインストラクターだったり、ニューエイジ系の著作を書いたユダヤ人作家の方などとも等身大の人間付き合いをさせていただいていましたが、自分の知る限り、凄く知的な人物でも取っ組み合いや掴み合いが起きている現場では普通の人とそんなに大差ありません。大体が元々繊細でナイーブな感性の人のほうが精神的な事柄に関心を持ちやすいみたいですしね。

ですから、人間の知性は直接の争いの場からは一歩退いた場所や状態でないと本領を発揮出来ないんです。
教育とか文化とか政治の場でこそ、非暴力や反戦、平和主義というものを実現していかなければならない。
つまり、例えば日本は今はまだ武器輸出し始めて憲法が解釈改憲で侵されてはいても実際に国民が直接戦場に行って人殺しをしている訳ではありませんが、「だから、まだ大丈夫」、ではなくて、暴力の連鎖や憎しみ合い、戦争を止めたいのなら本当の本当に「今」、やるしかないんですよね。

戦争や暴力、って、単に概念で考えているとなぜいけないのかがイメージし切れない面があると思います。そして、そういう緊張感のなさが平和の中で差別や虐待といった形で、徐々に人間の中の危うい性質を育ててしまうところがある。
だから、こういう私個人のくだらない体験談でも、何かリアリティーとして捉えるきっかけになれば、と考えます。
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by catalyticmonk | 2015-08-20 05:04 | 地球人 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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