いじめ社会

本当にそうだよな、と思わされるアメリカの学校で起きた出来事の動画を観ました。

SNS上の掲載なのでリンクは特に貼りませんが、ガンになった祖父を励ますために坊主頭にした11歳のジャクソン君を、同級生がそんな事情も知らないでいじめた問題に学校のティム校長先生がどう対処したか、という話です。
校長が生徒を集めていじめられた生徒に自らの髪をバリカンで刈らせて、いじめた生徒を一人も責め立てる事もなく、人の心や事情も知らないで笑い者にしたり悪口を言う行為の愚かしさを諌めたところ、後でいじめた側の生徒らがジャクソン君に謝りに来た、という内容でした。

でも、アメリカ人なら、直接知りもしない伝聞を根拠に誰かを冷たくあしらったり、悪意のある態度や行動を取るにせよ、まだしも相手がはっきり何をされたか目の前で分かる形でやるでしょう。
露骨と言えば露骨だけれども、だから、一応その気になれば本人が「なんだと、この野郎!」と言い返す事も簡単だし、決着がつくかつかないかは別として、個人で正面から議論を挑み、周囲に賛否を問いかける事も出来る。
ここが日本とは全く話の土台が同じにならない部分です。

日本人は堂々とやらないで裏から手を回しがちです。
相手がその場では即反論や弁明が出来ないような、遠回しな言い方で、相手にだけそうだと伝わるような嫌味を言ったりします。ただ自分との関係が近しいか・遠いかだけで、自身では確認もしていない伝聞の噂話や主張を取り入れる判断を簡単にしてしまう。
だから実際、そもそもはっきり言いようがないのです。雰囲気の中での忖度や恭順で誰かへの評価や判断をしてしまいやすい。
雰囲気の中での空気読みだから、表立った直接的な言い回しや態度を一生懸命に避けて、集団でじわじわと相手を締め上げていく。

これではどんなに勇気ある個人でも、正当な言い分がある人物でも、自分に起きている理不尽な扱いを上手く訴えていく事が難しくなります。
おまけに自分をそうやって吊るし上げている者の大半の顔ははっきり見えないし、やっている側も自分が全体としてはどんなプロセスに関わっているか認識出来ないまま。
結果として、表面的には品行方正な普通のいい人達が多く関わる群衆心理的な状況が発生しやすいので、冒頭に書いたアメリカの校長のような清廉潔白な人の行動がストレートに響く設定は、とても限られている気がします。
日本ではちょっと粗暴だったり、露骨な悪態をつくタイプの人間の方が、まだずっと裏がないくらいです。

私がヨーロッパ人の人達と口論した時に感動したのはそこです。
自分に露骨な悪意ある態度や失礼な真似をした相手に、直接「どうして、そんな不当な態度を取るのか私は納得出来ない」と詰め寄ると、日本の文化で育った者からするとびっくりするくらい率直な返事が返ってきて、お互いのわだかまりが溶ける、という体験を何度もしました。
そんな体験は自分の生まれ育った国ではまずなかったので、私は涙が出るくらいに嬉しく思ったものです。
日本人とでも極親しい間柄ではそういう事もなくはないですが、社会的には大概はまず通用しません。せいぜいが、その場だけヘコヘコと恐縮したり笑顔を見せて、後から全然表面的な態度でしかなかった、と気付かされる場合が多い。

大の大人でも子供みたいないじめをする社会。
そこを自分達に言い訳する材料が、協調性の美徳だとか、忍耐や謙遜だとか、周囲の多くがそうしている現実とか、山のように用意されています。
もし、その人が卑怯者で、他人を都合良く利用出来ればそれでいい、という人達なら、私にはもう何も言う言葉がありません。
だけれど、もしも人としての真っ直ぐな心があるのなら、我々自身の判断と勇気がいつも試されているのだと思います。
どんなに親しい人の言葉でも、周りの空気がどうであっても、そこが受け身なままでは、自立した「自分自身の」良心が活かされて、清々しい思いで人生を送る日は永久に来ないでしょう。
e0296801_15093335.jpg

[PR]
by catalyticmonk | 2017-05-12 00:18 | 忘れ物 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


by catalyticmonk

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
インド生活
貨幣経済
学校教育
チャップリン
経済開発と環境破壊
忘れ物
輪廻転生
言論の自由と情報リテラシー
自己経歴
名古屋及び尾張地方の土地柄
貧困差別・人権教育
不安夢
旅の糧
異端者を作り出し疎外する社会
瞑想センター
大量消費社会の本質
読書
Drawling Stone
ネアンデルタール人
盗作事件
プロパガンダ報道
ゆとり社会
皆影響され翻弄される
人間は必ず過ちを犯す
地球人
優越感の生物学的功罪
グローバリゼーションと全体主義
衆愚政治の回避と個の確立
季節の変わり目
ネグレクト、児童虐待
生と死のリテラシー
宗教の救済性と排他性
地元意識と首都
ブラック企業
反戦
湯宿ファンタジー
福島第一原発事故
陰謀論とオカルト
魔女狩り
性の分断
ジェンダー
依存症
ネオテニー論
ゲマインシャフト
希望社会
意思疎通
メディアリテラシー
個の尊重と人権
イスラエル
風俗業
集団的自衛権
嫌韓嫌中
サイコパス
ごみ屋敷
呪術
ファッション
食品添加物
ポジティブ思考
表現の自由
太鼓持ち芸人
無縁社会
経済と個人の実存
ヤンキー文化
精神医療
監視社会
相互抑圧
思想の自発的更新性
消費課税
高度情報化社会とSNSに感ずる諸々
草の根市民運動と選挙
マイノリティー差別
喫煙
人間の尊厳
支配構造
地震
食事
セクシャリティ
推敲
オトコ
アイドル
未分類

フォロー中のブログ

最新のコメント

https://www...
by catalyticmonk at 14:52
しかし、この内容でFac..
by catalyticmonk at 13:08
そう、普段の生活からやっ..
by catalyticmonk at 02:00
日本人って、価値観が異な..
by あ# at 16:50
分かります。 それが便..
by catalyticmonk at 17:51
その力が国民にはあるから..
by catalyticmonk at 17:32
総理は社長かもしれません..
by きょうかいな at 22:42
ども(・Д・)ノ
by catalyticmonk at 18:36
本当の自分の強みや弱味っ..
by 双子ママのErin at 22:46
なんかどことなく高円寺の..
by catalyticmonk at 19:34

メモ帳

最新のトラックバック

venushack.com
from venushack.com
venushack.com
from venushack.com
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
呪術師,寄合,メディア
from 哲学はなぜ間違うのか
シールズ関西のブログ記事
from 御言葉をください2

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

もののはっきり言えない日本人
at 2017-09-23 05:36
癒着と平等
at 2017-09-07 00:12
女は怖い
at 2017-08-21 00:29
秘訣は変わる
at 2017-08-21 00:17
気が遠くなる幸せ
at 2017-08-21 00:02
「神」という呼び方についての私見
at 2017-08-16 00:33
従順な冷酷
at 2017-08-15 21:09
アイドル文化について
at 2017-08-08 02:04
既存の左翼文化・自称リベラル..
at 2017-08-08 00:40
他人の不幸は蜜の味、という言..
at 2017-08-04 00:02
生命倫理としてのガン
at 2017-08-03 23:47
繰り返さないために忘れてはな..
at 2017-07-26 00:42
ゴシップ嗜好と日本の民主主義
at 2017-07-21 20:50
自己アピールとひがみ
at 2017-07-21 20:37
ひとと違う意見は罪な国
at 2017-07-21 20:14
自己啓発本の罠
at 2017-07-21 20:00
トンデモさん
at 2017-07-21 19:41
民主主義未満
at 2017-06-19 01:29
自由と命の爪跡
at 2017-06-19 00:11
市民共闘
at 2017-06-18 06:07

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

健康・医療
哲学・思想

画像一覧