カテゴリ:無縁社会( 2 )

やり直しの利かない社会と貧困の連鎖

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都会の片隅で“見えないホームレス”になる貧困女性たち
http://nikkan-spa.jp/851952

なんでこんなことになってしまうんだろうなあ、と感じる方も多いでしょうが、実際に17年ほど前に私が歌舞伎町で働いていた時にはこういう女の子が大勢いました。サウナや漫画喫茶を泊り歩いているんですよね。

原因としてまず考えられるのは、一つにはなかなかやり直しが利かない社会。
田舎の農場で住み込みとかいくらでもあるのに、というような意見を言われる方もいますが、そういう情報もその人の人間関係なりなんですね。彼女たちはまずいざという時に頼れる家族や友人といった親密な人間関係のセイフティーネットから抜け落ちて困難な環境に陥っている場合が多い。
あと、男の私でも仕事で友達も知り合いもいないよその土地に行って、だいぶ話と違って身動きが取れなくなって、その上に最後は会社が夜逃げ倒産とかね、そういうので修羅場を数年間にわたって経験したことがあるので、不確かな話で冒険するのは、若い女性なら余計にリスクが高いと思うんですよ。

いろんな選択肢の情報があって、それらを試せる機会は、やはり横のつてや経済力のある人たちほど大きくて、一度や二度の冒険ならね、まぐれ当りで成功することもありますが、私のようにそれで変に若い頃から無謀な賭けをする癖がつくと、最終的には大怪我する可能性も高くなります。
冒険は、自分の人生を賭けるためにやむを得ない場合に、覚悟してやることで、習慣にすることではありません。

世の中が全部ビジネスとその利潤を生み出すための標的のようになってしまって、それを補う社会の横のつながりや個人レベルの人間関係が希薄化しているのも問題です。

そうしたことが相まって必要な知識を本人が持っていない場合も多いのではないでしょうか。
保険証すらない、とか、事務手続きは勤務先の建設会社に一任していて自分は何も知らないその日暮らしの中高年の肉体労働者の人たちを、私は自分の同胞として大勢見てきました。
そうやって追い詰められた人々が女性であれば、この社会の中では性搾取という選択肢にも追い込まれやすくなる。男女の賃金格差も歴然としていますから、そこは一層深刻ですよね。

やはりそこには受けた教育の有無や物事を自分で理解・判断するのに必要な基礎知識・基礎学力が欠けているからこその、受け身な境遇といった要素もあって、そうした様々な事柄から考えても自助努力は限界があることも明らかなんです。

それは育ちが恵まれていたとは言えず、学歴やコネなどがなくとも、たまたま運が強くて幾つかの冒険を乗り越えられれば、その過程を通して得る体験知や専門知識・技能、商売上役に立つ情報、といったものもあります。
だけれど、そんなのはまぐれ当りもいいところで、まさに自分の切羽詰まった境遇を改善しようと賭けに出たことがきっかけで大きく転落してしまう人も非常に多いのです。
社会の底辺で生きる人たちの悲惨な実態を直視したならあまりにもハイリスクな実情があって、決して社会が個人に期待して奨励していい性質の事柄ではありません。

そこは個人の運や努力のみに帰して自己責任論で済ますのでなく、社会が教育や福祉、行政等の各方面から底上げしていかないと、確率的には減っていきません。
そうした課題であると認識して、行政改革や一人一人の持つ民意への浸透という形を通して社会全体で対処していかない限り、こうした問題は継続していってしまうでしょう。
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by catalyticmonk | 2015-12-28 00:58 | 無縁社会 | Comments(0)

孤立死について

孤立死弔う僧侶「便利な生活を追求してきたツケが…」
http://jisin.jp/serial/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84/social/6899


「私は、孤立死を全否定はしません。あえて独りで亡くなることを選択するのも、一つの生きざまです。でも、僕が見た孤立死の現場では、ある共通点があるんです。多くの故人が、柱や家具につかまって、玄関に向かおうとしてこと切れていました。つまり、最期はSOSを出していたのです」

誰でも孤立死しかねない時代、身につまされる内容でした。

ただ、レポートとしては興味深い内容でも、「便利な生活を追求してきたツケ」といった見出しは孤立死する人々が皆自業自得であるかのような響きがありますし、家族回帰志向的な価値観を仄めかして無縁社会の困難と解決策をストレートに個人の努力の問題に帰してしまっては、やや一面的でしょう。

日本は国家全体としては裕福でも経済格差も激しいわけですし、貧窮した暮らしの中には様々なバリエーションが存在しています。
親や自分自身が借金を抱えていて絶縁せざるを得なかった、施設や親戚の家で育って今は実家がない、親がヤクザだ、貧乏な人ほど家庭の事情もいろいろあるわけです。
個人の努力不足で孤立死に向かっていくわけでもない、それが不回避と言っていいほどどん底の境遇で暮らす人々も数多く存在する現実があることを忘れてはならないでしょう。

テレビの報道番組などでもよく感じることとして危惧する部分を率直に書かせていただくと、どんな記事でもリアルなレポートとセットにすれば単に「おまけで私見も述べてみた」という以上の説得力・影響力を持ってしまう面が当然あります。
そこで一面的な言説を張ってしまうならば、困難な環境・立場の人々に対する無用の偏見を生む可能性や要素も高まってしまうはずですから、そこには留意する必要があると考えます。


それにしても孤立死を現代社会から減らしていく、というのは難しいテーマですね。
例えば私自身もガン患者で、自分では快癒して百歳まで生きるつもりなのですが、それでも相手への責任を考えたら病気というリスクを抱えて再婚ということは考えられないので、現時点で子供もいないですし、やはり最期は孤立死する公算が高い、と明瞭に認識しています。

福祉の発達した北欧では、家族に介護する意欲があっても親のほうから進んで介護施設に入り、高齢者同士の共同体を楽しみ、かつ年老いた自分が家族の負担になっていると感じないでほど良い距離で親族と交流していくのをよしとする風潮が強いそうです。

一人で亡くなる本人は死んでしまえば関係ないから良くても後片付けする立場の人間が辛いんだ、といった状況も描写されていますが、これもそもそもそういった制度が十分に整備されていないが故の不都合である気もします。
大体、亡くなる方々は生きている間は人それぞれの形でこの社会に貢献していたはずなんです。
独り身になる前は家族を養い、父母として子を育て、働いて税金を納めていたはずです。仮に床に臥せっている年月が長かった方でも、人間というのは生きているだけで実に多様な働きをしているものなんです。

それが病気や障害を負ったり、年老いたりしたら厄介者扱いするのは、そもそも社会的動物である人間という生き物にとっておかしなことではないでしょうか?
私達は互いに助け合うことで巨大な社会を築き、現在の文明の恩恵のすべても手に入れて来たのです。福祉の受け皿が一部の人間の負担に偏らないように用意されていって当然なのです。

もちろん現状、日本がそこまでいくには社会が弱者切り捨てという真逆の方向に向かっている気配ですから、まだまだハードルが高い気がしてしまいます。
まずはその社会全体のハードルを少しずつ突き崩して行く活動に可能な範囲で関わっていけたらいいな、と私自身は考えています。
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by catalyticmonk | 2014-07-30 00:30 | 無縁社会 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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