カテゴリ:セクシャリティ( 2 )

泌尿器科への入院と性差

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私はここ1年ほどがん手術を通して、泌尿器科の病棟に度々入院している訳ですが、泌尿器という部位の特異性と、そういうデリケートな部分を男性が病気する、という性質について、ありのままに実感してきました。

まず、そこで強く感じたのは、泌尿器科入院している男性患者の多くが付き添いの家族や身近な者にだけ空威張りして、実のところ甚だ自信を失くしたようなおとなしさになる傾向があって、男根にダメージを負った男の脆さを体現している、という側面です。
看護師の方々に聞いても、他の科の病棟と比べても、特に泌尿器科の男性患者同士に互いであまり会話しない傾向が顕著だ、と言います。
男は、笑い話でもなく、男根に気合いが入らないとチカラが入らない生き物のようです。

奇妙な現象は他にも色々とあって、若いナースが、何故かこちらの局部の処置をすると、それまで素っ気なかった人物でも急にタメ口になって優しくなる、という不可解な現象に度々出くわしてきました。
それについてSNSで短く書いたところ、こういう意見を聞きました。男性の側でも「親密さ」を抱くから起きる相互作用なのではないか、と。
ですが、それはあまりにも私の実体験に重なりません。

なぜなら、こちらは清水の舞台から飛び降りるつもりで恥じらいを捨て、結石や膀胱がん、前立腺がん等の治療に臨んでいるからです。男にとってはあまりにも無様な醜態を無防備な状態で赤の他人に曝していて、本来なら落ち着かない訳です。
ところが泌尿器の病気はとにかく痛いし、がんなら大事なので、仕方なく治療に向き合っているのであって、自ら進んで患部を手当てしてもらう相手に親密さを感じている余裕などまるでない、というのが正直なところだと思います。

元から恥じらいの念のない人物なら別でしょうし、高齢の男性でもまた少し違うのかも知れません。
ですが、大概の男性にとっては、急所にダメージを負いながら他人に非力な格好で身を委ねなければならないというのは、著しく防衛本能に反した、なかなか覚悟がいる状況なのです。
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しかし考えてみれば、看護職の方々が持っているホスピタリティに加えて、「弱っていて、無防備な状態の男性」という存在は、ある意味、女性にとっては「去勢された異性」のようなものになるのかも知れません。
ですから、ひょっとすると、熟練した経験豊富な女性看護師でなくとも、心理的に男性患者が警戒すべき対象から外れる、という可能性もある気がします。

ただ、本当に熟練したナースは、男性患者の局部を母親が子どもの世話をするか、完全にモノでも扱うかのようにドライにテキパキと処置します。それはそれで男のデリケートな部分を辱められた気分になる瞬間がないでもありません。
何故若い女性看護師が同性の熟練者や男性看護師よりも圧倒的多数なのかは、おそらくは現実的な人事事情なのでしょうが、勝手にそういう都合に合致しているかの如く感じる時があります。

また、次のような出来事からも似通った事柄を考えさせられました。
私のこれまでの経験だと、決まって手術翌日の夕方くらいから、麻酔や点滴投薬の影響が薄れ、また挿入されたカテーテルがズレたり擦れたりするためか、術後の痛みが激しくなってきます。
回復の進度は患者一人一人が手探りで様子見するしかなくて、毎回痛み止め注入のタイミングが遅れたりもするので、回診に来たお医者さんでも、あまり的確には痛みを止め切れません。
ですが、一人のナースが男性器を左向きにテープ固定すれば痛みが和らぐかも知れない、と言い出して、そんな原始的な技だけで痛みを治してくれました。

e0296801_10572259.jpg医師は、病理学的な見識やオペの技術は持っていても、こういう治療現場の実態に即した小技や感覚は持っていないのだ、と3回目の手術入院ともなると如実に分かってきます。
それ以上に一つ、大きなポイントは、男性の看護師もいるけれど、そういう男性の生理学的な性質を熟知していないと思いつかないはずのアドリブを繰り出すのは、どういう訳か明らかに女性の方だ、という、一見道理に合っていないように感じる現実です。
どうして20代の女性がテープで左向きに固定したら痛みが取れるかも知れない、と思いつくのか、本当に不思議です。

同性である男性看護師にそういうアイデアがたくさんあるようにあまり感じないのですが、それは男性患者が同性に弱みを見せるのを嫌って一層心を開かないからかも知れません。緊張関係が薄くでも持続していれば、提案できるアイデアも自然と少なくなるでしょう。
慎重に考慮しなければ性差別にもなりかねない微妙な部分ですが、一般傾向として女性にそうした勘の良さが備わっている率が非常に高い、という印象は禁じ得ません。

ともあれ病気を体験することは、日常生活の惰性とは異なる視点から人間存在を再認識できるきっかけが、たくさん転がっています。
取り分け泌尿器科への入院は、私にとって性差が精神と肉体に及ぼす影響について、改めて再発見するところの大きい体験となっています。
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by catalyticmonk | 2017-02-02 21:50 | セクシャリティ | Comments(0)

セクシャリティと愛情

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他人に対して肉体的欲求を持たない人々をアセクシャルasexualと呼ぶんだそう。
アセクシャルの人たちは他人に対し肉体的欲求を持たないが恋愛感情を持たないわけではなく、恋愛感情も抱かない人々はアロマンティックaromanticと呼ばれる。
アセクシャルの人々もアロマンティックの人々も、他人に関心がないとか友人がいらないとか冷たい人間とかではない。他人に冷たい人間などセクシャリティに関係なく存在している。

という話を知ったけれど、ここで素朴な疑問。
他人に対し恋愛感情を持たないが肉体的欲求を持たないわけではないアロマンティック・セクシャルaromantic sexualは、他人に関心がないとか友人がいらないとか冷たい人間とかではない、とスムーズに認定されるんか知らん。
別に自分がそうとは言わないけれど、それっぽい奴っている気がするんだなあ。まあ、自分も思春期の最初の頃には、色目線と他人に対する友愛の感情は普通にあっても男女の恋愛感情というものがいまいち分からなかったので、そういう人種を見分けられるんだな。

でも、恋愛感情って、経験と共に発達していく気もする。嫉妬とかメンドクサイ感情まで発達してしまいやすいので、ややこしい恋愛はしないに越したことはない、という中年なりの実感もある。
ややこしい相手と絡むと、ややこしい感情まで芽生えるから関わらん方がええのよ。
難しい恋愛や結婚生活を経験すると、余計に孤独も味わうしね。バツイチなことを同年代の独身男性たちに言ったら、結婚をできただけ羨ましい、とか言われたことがあるけど、「何が羨ましいことなもんか。心の傷が増えただけだよ!」と即答した記憶がある(笑)。

で、ややこしい感情を持っていなかったのに、ややこしい相手と絡むきっかけになるのは、やっぱりエロスだったりするんだよな。エロスは情も連れてくる。
だから、色にも流されないよう気を付けておいた方が無難なんだけど、まあ、そういう煩悩で苦しむことが、人生の中で人間理解を深める大きな要因になったりもするからムダとも言い切れなくて難しいんだな。
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by catalyticmonk | 2016-08-07 13:19 | セクシャリティ | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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