弱き者から先に

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桐生市の小6女児がいじめを苦に自殺した問題で、遺族と元同級生の和解が地裁で成立したそうです。
事件の概要はこちらにあります。

「こうした裁判をしても死んだ者は生き返らないのだから、今生きている者の方が大事だ」、というような発想があることも私は知らないわけではありません。ですが、こんな痛ましい事件が繰り返されてはいけないのですから、そこを一回一回きちんと総括することは非常に大切なことです。

私はこの世の中で弱い者いじめほど許せないことはありません。
ましてやこの少女は仲間外れや周囲の大人達に訴えても理解されないという孤独感、屈辱の中で死んでいった。幼い心がズタズタに引き裂かれ壊れてしまう直前まで必死にSOSを発していたのに、ついに誰一人として有効な救助の手を差し伸べられなかった。
最も非力で弱い立場の子供も救えないような社会なら、そんな社会に何の価値があると言うのですか。もういいよ、あなたはそんな場所から立ち去って自分が生きやすい世界を探しなさい、と言うのが最良のアドバイスであり、そうさせてあげるよう協力するのが正しい支援の仕方ということになるでしょう。
ですから、私達が私達の居場所を放棄しない限り、絶対にこんなことは許してならないのです。なあなあに済まされていいことではないのです。

私個人が子どもの頃に体験した重大な出来事としては一つこういう事件がありました。ひょっとしたらそれは、日本中で起きていた事件なのかも知れないのですが。

私が小学校中学年の頃のある日、普段自分と一緒に遊んでいた生徒が何人か学校に来なくなりました。
それで理由を周りに尋ねると、自分達の小学校には特殊学級がないので、特殊学級のある町内の他の小学校に送られた、ということでした。
中学になると町内の複数の小学校から一つの中学校に進学するので、私は小学校時代の悪友達を再び目にすることになりました。
彼らはすっかり変わり果てていて、狂人然とした有様で、薬物の処方でもされていた影響なのかあからさまにひどい痴呆状態でした。
しかし、私は四、五年前の彼らのほうがもっと子供ながらにも人間的に普通で、友達としての感情のやり取りも出来ていたのをはっきり覚えていたし、個人的に付き合いがあった旧友に関して限って言えば知能程度も知的障害のような感じではありませんでした。

子どもながらに自分の胸にどす黒く熱い何かがこみ上げてくるような衝撃で直感しました。彼らは学校や社会に人間的に抹殺されたのだ、と。
ただ、ほんのちょっと教師や学校側の手に余る子だったというだけだったのが、「頭のイカレた子供を入れておく場所」のような社会的枠組みの中に押し込められ普通の子供社会から隔離されて、ひょっとしたら前時代的な精神治療、おとなしくさせるためだけに精神安定剤を過度に投与するとか、電気ショック療法などを受けているうちに、成長盛りの児童が廃人にされてしまったのだ、と私は今でも強く思います。

敢えて誤解を恐れず率直な思いを吐露すれば、私は本当のことを言うと、より多くの人の幸福を、なんてふうにはそれほど考えていません。
恵まれている者は結局どんなに上品で心根の優しい人柄であっても、何かに不足し色々窮している立場の人のことはなかなか分からない現実を知っているからです。
力や勢いのある人間の意見から聞いていったら必ず締め出される人々が大勢出てきてしまうのが世の理です。それはトランプゲームを続けていくと、やがて一人の勝者に勝ちが集中していくように、放置していたら世の中の大多数の人が追い詰められていってしまう経済の仕組みとも密接につながっています。

それはまた、まず真っ先に排除や攻撃の対象となる弱者やマイノリティーの立場の人々からすれば、日本の社会が同調圧力が強くて、平均から大きく隔たる質・設定の者ほど心ない差別を受けやすい、という文化的な問題点とも深く関連しています。

ですから、虐げられ何かに困っている人達、数や声の力が小さくて社会から疎外されがちな弱者やマイノリティーの人達が少しでもより健やかに暮らせるようになることが重要なのだ、と私は信じています。

また、私達は幼いうちは周囲の保護を必要とし、妊娠中の女性は様々な制約に曝され、誰もが老いたり病を負って、やがては衰えていきます。
元気一杯に羽を伸ばせる人生の時間は実は非常に限られています。そのわずかな限られた時間も多くのもの、家族や周囲の大人・社会環境の保護や安全、教育や既存の文化・社会制度といった数多くの後ろ楯があって初めて成立します。
弱き者を先にしてこそ誰かが誰かのために犠牲にならない、みんながいがみ合わず安心して健やかに「質の高い幸福」が享受出来る社会に近付いていけるのだ、という意識を社会全体で共有していけるように、私達は自覚していくべきなのではないでしょうか。

私は古びた言葉を今一度言ってみたいと思います。
「愛ほど尊いものはない。」

それは、私達が社会単位で質の高い幸福を追求していくには不可欠なものであって、かつ私達自身も社会的な動物である以上それを互いに感じ合えるのが幸福実現のために必須のことなんだ、私はそういった意味なんだと理解しています。

by catalyticmonk | 2014-12-04 00:54 | 希望社会 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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