リゾート地の光と影、そして世界平和の中身について

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私はかつて文化学校への留学が縁で3年間ほどインドに住んでいた時期があって、宗旨宗派、信仰の有無を問わないアルコールや薬物、犯罪依存症の更生機関でもある瞑想センターで無宗教の立場で活動するなどしていました。
インドには、そうした精神・伝統文化の学校、学術機関、外国人向けの啓蒙的施設や教室が数多くあって、来訪した外国人同士は、ヨガを習っているのか、アーユルヴェーダ医学を研究しているのか、それぞれ互いが何をどんな目的によって求めてやって来たか、どういった活動に現在携わっているか、その差を問わず、非常にオープンで活発な議論、交流がありました。
インド北部のヒマラヤ山脈周辺にはそうした機関が数多く集中しているのですが、何しろ冬の時期には雪で下界から閉ざされ、多くの学術機関・文化施設、商業・宿泊施設が閉まってしまいます。

ですから、毎年冬の時期が近付くとそうした在留外国人が民族大移動のように一斉に南下し始めます。そして、その多くが向かう先の一つが近年までポルトガルの植民地で、古くから西洋との貿易拠点であったゴア州です。
特に複年単位で滞在している在留外国人はほぼ全員行く、といった感じで、インド各地でばらばらに出会って来た人達がクリスマスやニューイヤーのお祝いの時期に大集結するわけです。

旧ポルトガル領で混血や在留外国人が多いゴアであるのでビジネス・チャンスも多くて、インド人も他地域から一家で商売しに来ている家族が多かったです。
やはり、そこに大きな格差はありました。
ですが、アメリカに第三世界から移民してくるマイノリティーのようなもので、流入者は自分達の生活が今までの環境よりは向上していっている最中、若しくはそれを目指しているので、そうした流動性や多様性の中に地域に存在する格差や階級性が紛れている面はあった気がします。
やはり、それはインド国内全体で見た場合には地域ごとに絶大な経済格差、外の世界とのビジネス・チャンスの有る無しに大きな開きがあって、平等で公平な社会を求めようとしたら道のりが随分遠くなってしまう現実がまず存在する、という前提抜きに理解することは難しいでしょう。

まさにそこが日本のスケール感では捉えられ切れない次元でもあります。
現実問題、こうした観光産業がある地域に流入して来て元住んでいた地域での暮らしよりも豊かになったという家族は数多くいるのです。インドの他地域に相対的にもっともっと貧しい場所がたくさんあるということです。
だけれど、そこの構造の中にも格差や階級性があり、問題をインド連邦政府単位で改善しようとすれば、まずその家族の故郷の地域の貧困問題を是正しなければなりません。しかし、インドは広大で、実際は州政府ごとにかなり独立した別個の社会、法律、自治政府があります。つまり、それは途方もなく遠大な目標となるのです。12億5千万人いる巨大社会ですしね。
地域社会の保護優先で改善しようとすれば流入者に対する排他性にもつながったりする面もあるし、実際流入者が安定した地域経済と治安を脅かす事例も多々ある。

良いか悪いか、ではなしに、日本のようにかなり均一性の高い、高度に管理された社会からは想像しにくい世界がそこにはあると思います。
そうした複雑さは、結局大きな影を抱えているわけであって、例えば先述のゴアは、短期の旅行者や在留外国人のインド国内の一大リゾート地及び文化セクターであったけれど、ある種インド中から一山当てようと様々な人種が大挙して集まって来る混沌とした地域でもありました。
また、親しい友人や仲間達も、海外からの旅行客相手にワンシーズンだけのヨガ教室を開いたり、フリーマーケットで各自の出身国の郷土料理を作って商売するなどしていて、そうした活動にも何度も誘われたのですが、私個人はもっと南の州のケーララやタミル・ナードゥでローカルの人々と対等に交流しているほうが心が和みました。
インドの最南端地域は社会主義運動が活発である、という事実も大きいでしょう。実は私はそこで受けた影響こそ大きい人間なのですが、そこにまで触れると「リゾート」「観光産業」といったテーマだけでは語れない要素が増えて話が大きく逸れるので、ここでは触れません。

社会の階級性は、得する者と損する者の差を生み出し、それは人間の心に穏やかなぬくもりの代わりに妬みや虚飾、競争心を与え、必然的に犯罪や暴力沙汰といった闇の増大とも比例していきます。
私がゴアのような地域にそうしたリゾート地特有の光と影を感じたのも事実です。売春、麻薬の密売、警察の汚職、ありとあらゆることがギャング映画よろしくあったようです。
普通に海外からやって来たイタリアン・マフィアとかロシアン・マフィア、またそういった海外の犯罪組織と結託している地元マフィアの人達とも出会いました。やはり在留外国人の世界は狭いので、そうした情報は物凄く露骨に臆面もなく伝わってくるわけですね。
山では真面目にヨガの先生をしていた方と同席すると、その方が同国人のよしみでお茶している相手がイタリアン・マフィアであると赤裸々に分かってしまったりする変な世界なのです!
それはそれで映画の世界を垣間見るようで、かなり刺激的だったのですが、別に私自身がそういった人間ではないので、中途半端に垣間見たものを話題にしても内実までは捉えられません。
自分は身一つで異国の地にいる外国人の立場だったので、彼らに社会的に抵抗するどころか、十分な防御手段もない非力な境遇で、くわばら、くわばら、といった感じではありました。

e0296801_1604947.jpgそうは言っても、楽しい、解放感を味わって人生を謳歌する時間と空間が否定されてしまっては、イスラム原理主義に支配されたタリバン政権下のアフガニスタンや、スターリンによる恐怖政治時代のソ連、あるいは文革時代の中国のようになってしまうことでしょう。
私達はそれぞれが幸福になるためにこの世に生まれて来たからです。
ですから搾取構造的なビジネスモデルには注意深い観察と問題意識が持たれて然るべきですが、私はこうした南国の地の観光業が栄え、またそこで世界中の人々が混ざり合って交流出来ること自体は悪いことだとは思わないんですね。
私は若い頃、貧乏労働者ながらにも時折お金を貯めては幾つかのアジア諸国をバックパック旅行したものでした。後年住むこととなったインド以外にも、メキシコ、タイ、カンボジア、インドネシア、スリランカなど、やはり熱帯地方に好んで行く頻度が高かったです。
そうした中で国籍を問わず多くの若者達と交流しましたし、何度か恋愛といったこともありました。

国籍や民族、肌の色の違う者同士でも愛し合え、またそうした自分の生まれ育った世界からは遠い何者かと通じ合うことが出来る友情や恋愛は、この世界に生まれてきたことを感謝し、人生を素直に喜ぶ尊さと大切さを教えてくれます。
大真面目に言いますが、恋愛は私達の価値観が、元あった場所の習慣によってがんじがらめな状態から、もっと柔軟な態勢へと広がる役目を世界の歴史の中で果たし、血と文化の融合を現に長年推し進めてきてくれたはずなのです。
それは教科書や歴史書には残らなくとも、暴力や侵略だけでは肯定的な文化などつくられようがなかったという意味において、人間対人間の、知られざる歓喜の歴史の側面だったはずです。
つまり、それは恋愛という以上に人間愛の力ですね。

恋愛・友情に限らず、人間同士が生まれ育った環境や文化、民族、宗教の違いを乗り越えて互いに親身に仲良くし合うには、やはりスポーツや芸術・芸能、娯楽など、分けてもバーチャルで観念的な刺激だけではない、肌感覚や生理レベルで感じ取れるような何かの「楽しさ」「喜び」といった要素が、次のステップへ私達を踏み出させてくれる強力なツールとなる、と私は信じています。

南国の解放的で美しい自然環境の中で、世界中の人々と楽しく交流した日々を人生のうちに体験した人々は一生その思い出を失わないものです。
また、その喜びの体験が、人種や文化の違いなんて本質的なものではない、地球上の生態系は守られなければならないし、私達が健やかに生きるための環境とインスピレーション、活力の源泉もそこにあるのだと、経験した各人が理屈抜きで確信出来る根拠となっていたりします。

そうした関心は、本来的に議論や分析だけでは生まれて来ないものだ、という点も私は経験的に実感しています。ですから遠くの南の地でなくとも、まずは海や山へ、近所の公園の花園へ、あなたの大切な人々と出掛けてみられてはどうでしょうか。
私も病気を患ってから1年くらいは頻繁に山歩きに出掛けていて、そうしたことを通して、自分がかつて旅先や異国での生活の中で感じたのと同じ多くの感動を、祖国日本の自然環境と里山の情緒の中に再発見しました。
また、そうしたところには日本の文化と情緒を求めて訪れれた異国の人々とも意外と近い距離で交流する出会いもあったりします。

世界中の人々が、長い長い時間をかけて、緩やかに交じり合って進歩してきたという現実の認識とその可能性を、島国育ちの日本人はこれからの時代のためにもっと知っていいし、結構頭で想像している以上に気付いていない面はまだまだあると思いますね。そして、その先に将来の本当の世界平和の姿があるとも思うんです。
それが何かって?言葉で私が拙い表現をして伝えれる以上の、皆さん自身にとっての何かですよ!
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by catalyticmonk | 2015-02-11 02:02 | 忘れ物 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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