自分が若者を若者でない者として眺めている現実に気付く瞬間

私は昨日、いい意味での嫉妬と、いい意味で自分がもう若くない、と実感する瞬間を持ちました。
未来ある若者たちへの、羨望と期待と憧れ、陰ながら応援し見守ってあげたい気持ち。

何を言うんだ、43歳など青二才もいいところだ、そうかも知れません。
それでも昨日、私がそのように感じたのは事実なのです。

取り戻せない時間と健康、苦渋に満ちた過去の上に学び知った自分の経験は変えられません。自分なりに培って来たものもそこに分かち難く含まれているからです。
ですが、その自分よりはさらに僅かながらの生きた中にも、今を輝き、純粋な想いで感慨に耽れるだけの充実した熱い経験をすでに持っていて、この社会の現実の中で傷付き、怒りながらも、自分たちの未来を切り拓こうとしている若者の姿と言葉を目にし聞いた時、私の中に浮かび上がって来た感情は、とても濃縮した複雑なものでした。

今の日本の社会の中にあっても眠らず、主体的な意識を持って、自分たちの明日のために行動しようという感情のある若者は、おそらくその行動の契機として、色々と傷付いたり、苦々しい現実と直面する機会もあった何者かなのでしょう。

ただ、痛みの結果として、いろんなことに過敏に反応してしまう、ということは人間にはみんな多かれ少なかれあることだと思います。
傷付きやすさは、それが他罰傾向になると負の連鎖になりますし、自分が過敏に攻撃されてしまっているように疑心暗鬼になっても、それが孤独の元となってなかなか幸せになれません。
20年、30年と時間が経過しても、別に過去のことなんだけど、そういう色々に敏感な部分は変わらないんですよね。 でも、そういう痛みが分かる人こそひとの身になれるものだと思います。

実際に世の中は残酷で冷酷なことも多いので、現実に対して正確かどうかよりも、ちょっと鈍感な方くらいが好都合なのかも知れませんね。
でも、それでも私は傷付いた過去を持つ人間の社会における意味って、マイナスなものばかりじゃないと思うんですよ。だって、鈍感で幸せな人は、やっぱり知らず知らずに人を傷付けるものなんですから。
心と身体に痛みを、孤独を刻み込んでいるからこそ、他の見知らぬ誰かに対して優しさや憐れみの気持ちをひとは持てます。

私も鈍感という意味では同罪です。決して細やかな器量のある人間ではない。
でも、相手を取るに足らない存在としてふみにじっていい、とは考えていないんです。
感じ方は色々あっても、根本の姿勢として、ひとに対して平等で、対等か陥れられないような関係である限り、相手の身を普通に案じられるか。そこが肝心なんだと信じています。

溌剌として純粋な熱い心に、だからこそ若者は多くの傷を受けることでしょう。実のところ、私はそれを彼らが受けるのが忍びない。
せめて、潰れてしまわないよう、再び立ち上がれる範囲内での傷で済んで欲しいと願っているし、それを防ぐことが私に微かにでも出来るのなら、そうしてあげたい。どうしても必要ならば注意して、それで自分自身が嫌われてしまってもそれでいい。

彼らの姿は、自分も明らかに心の奥底で絶えず望んでいた、情熱と怒りと痛みの「正常な」感じ方であり、捉え方・表し方でした。若いうちにそう出来るように、かなり大胆になりふり構わず動き回り、七転八倒した方の人間だという自負はあるのですけれど、それでも不完全燃焼感は否めませんでした。
溌剌とした若さ。それをずっと孤立していて同世代の中に混じって存分に味わう経験は出来なかった、という明らかな強い嫉妬。悔悟の気持ち。ある種の無力感。

だけれど、それを表わす巡り合わせと努力と才能を持ち合わせた何かを、若さと健康を持つ者が手にしているのなら、それはこの社会の未来への大きな希望であり、それが私の託していきたい望みを叶えてもらうためにも大切なんだ、という実感もなんとなく湧いて来ます。
だからこそ自分たちが当たり前のように今手にしている力と才能と命、健康を、どうか大事にして生きて欲しいという、何処かに叫び出したいのだけど、そのまま出しては余計なお世話だし誤解を招くので、しばらく胸の内側で感じているしかない、もどかしい想い。

自分たちが何に恵まれ、何を大切にしなければいいか分からないのも、若さと可能性を持った者たちの宿命です。
ですが、それは同時に、いっぺんに失ったりしないように生きなければ簡単に消え去る脆いものです。若さも、健康も、真っさらな心のあり様も。
どんなに善良な人でも、悲しい体験はいろんな行動を鈍らすんです、それが賢明な判断であるにせよ。

また、熱い純粋な想いは、ただそのままでは他の誰かを傷付け、不毛な争いの連鎖も簡単に誘い込みます。エゴとエゴがぶつかる場面が続く中で、若者の純粋さが醜い大人の権力闘争へと変貌して行く過程の端緒も、そこに含まれているでしょう。
誰しもそうやって知らないうちに汚れていって、もう一度スッキリするには余程生きるか死ぬかの体験かドン底の挫折でもしないと、ある程度の年齢を過ぎてからはなかなか元に戻りにくいものかも知れませんね。
だから、やっぱり出来ることなら一人一人が大切に生きてもらいたいんです。老若男女問わず、すべての人々の幸せのために。

純粋な情熱を持つ若さは、それでも他の人々に感動を与えます。
彼らの未来は、残酷な大人の世界の新規参入者になることも可能です。血の通った心の潤いと優しさを失わず、私たち一人一人が広げる心の豊かさという、平和と幸福を広げ得る頼もしい仲間になることも可能です。そのどちらも可能な白地図です。

若者たちを見ることは、何より自分自身の人生を見つめ直すことにもなります。
歳の近い知り合いよりも、いろんな選択肢が可能な若い姿が示す人生の白地図に、そこにロールプレイングゲームみたくいろんなものを感じ取るわけです。
自分ならもっとこうすれば良かったのかな、あの時はこうしたからダメだったけれど、まだこういう風には出来るんじゃないかな、ああ、そこで過去の自分と同じような孤独で辛い選択をしないで欲しいな。
等々と、自身の反省と感慨と、他の誰かのためになりたいという人間の社会的動物としての肯定的な感情を呼び覚ます何かが、若々しい姿にはあるのでしょう。

私はまだ43歳の若輩者です。そして、多くのことで未熟で不器用なままの非力な人間です。
それでも自分が、若者を若者でない者として眺めている現実に気付く瞬間があったのは事実です。感じたものをありのままに受け入れたいと思います。

そして、受けとめ方はまちまちでしょうが、それでも私自身は不安な気分の時に、誰かが自分を信じてくれている、と思えていたなら、さぞかし心強かっただろうなあ、と思います。
人間は現実的にとことん追い詰められると自己憐憫の甘えた感情がピタッと止まって、逆に物凄いバイタリティーが沸き起こって来たりもするものなのですが、それは少し優しさの欠けたものになりやすいようです。
自己保存の法則に従って本能が命ずるがままに生きていても、いつかまた必ず人間性に飢えることになる。
やはり、ただ窮地に追い込まれれば鍛えられて解決するわけでもないのです。
そこに心もセットされていなければ、そうした良識に基づく理念が社会に織り込まれていなければ、戦争や弱肉強食の経済競争の世界では心の乾きは潤されないのです。

微力であっても気は心。彼らに君たちのことを応援しているよ、と伝えたい気持ちです。
いつか何かの時に行動を通してそれが伝わったらいいのですが、そう思っている間に時は過ぎ去って行くものです。人生の時間にも限りがあります。人間は、やはり想いを言葉にしなければなりません。
頑張ってくれてありがとう。
by catalyticmonk | 2015-01-30 20:07 | 忘れ物 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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