市民社会の連帯と真の人権意識・民主主義

勝手に引き合いに出すと迷惑かも知れませんから、ある知り合いの投稿の一部分の言葉だけ引用します。
一部でパワハラのようなことが起きている様子が伝わってくる内容でした。

「その場で力のある者を担ぐ、その『権力』を笠に着る、『下』をつくる。自己主張との兼ね合い。威圧。」

コンパクトな表現の中から痛いほど現実が伝わってくる気がしました。
また、「セクハラパワハラ上等だよ。引かねーぞ」とも書いてありました。

身を粉にして沖縄の基地問題で頑張っている、若い女性の方です。都知事選で知り合いましたが、私は彼女に比べればずっと末端のボランティアだったので、面識があった、という程度です。
ただ、彼女の真摯な考え方、誠実さ、努力家度合い、人情深い人柄、といったものはしっかり理解しているつもりです。


考えの違う者同士でも緩やかに連帯して行く、大きな目的のために共同行動して行く、それは正しい姿勢だと思います。
しかし、なぜ仲間割れや内ゲバが多いか。
そのことについて以前、都知事選挙で応援した候補であり、元日弁連会長の弁護士の宇都宮けんじさんに伺ってみたところ、こう仰っておられました。
「結局、市民運動をする側の中でも、日本人に近代的な民主主義思想、基本的人権の尊重が十分に浸透していなかったからだ。そこから改められていかなければならない」

一口に内ゲバすんな、仲良くしろ、と言いますが、黙っていたら結局汚いやり方の奴らばかりが残って、純粋な気持ちで参加していた人が消えていく、という悲しい側面があります。仲良くしろ、と言って、結局それが力の弱い者を黙らせて済ます口実になっていたりもするのです。
ですが、私たちは自由と平等、個人の尊厳、民主主義のために、抑圧や支配と闘うためにやっているはずです。それが目の前の仲間にさえ出来ないで、他にどんな目指していくべき指針があるのでしょう?
「緩やかな連帯」というスローガンを掲げても、そこに野良犬の縄張り争いみたいな世知辛い権力意識が紛れ込み、放置されているようでは、理念としての求心性と説得力に欠けてしまいます。

宇都宮さんがご指摘されたように、問題の根幹にあるものは、日本人に染み付いた封建的、権威主義的な性質なのだと思います。それが市民社会のための社会活動を起こそうとして人が集まった場合にさえ、自然と大きくなりがちなのです。
だから、みんなで公平に襟元を開いて語り合うべきところで、力の弱い立場の人が何か意見しようとすると、「騒ぎを起こす従わない不届き者だ」とついつい先を行っていたりその場で強い立ち位置にいる者が権力意識を剥き出しにし、それを表面上は「みんなと仲良く」などといった詭弁で色々と当人を精神的にも丸め込むといったお手つきが、なかなかなくならないのです。
都合が悪くなると、まさに彼女が言ったように「自己主張との兼ね合い」で、様々に次元の違う話を持ってきては「威圧」し始めます。自己保身や醜いエゴが露見しないように巧妙に、排除とか抑圧といったことすらやる。


ところで、よく「目立ちたがりはダメだ」「自己主張の強い出しゃばりはダメだ」「ナルシストはダメだ」といった言葉を市民運動の場でも聞くのですが、日本社会にある問題点を考えた場合、その指摘の仕方だと若干混乱が生じる面があるとも思います。
出しゃばって、自己主張出来て、人に貶されても自分自身を信じられている健全な自己愛が、日本人にはもっと必要です。出る杭は打たれる、を肯定するような精神論では権力の暴走に対してしっかりとした根拠を持って立ち向かっていけないはずだからです。

「権力意識の強い人間はダメだ」
私なりに整理すると要諦はそこなのだと思います。
各人それぞれの願いがあって、それを伝えたい、また仲間に好かれたい、自分を尊重したい、それら自体は人間として自然な感情で、何もおかしなことではありません。
ただ、私もあなたも平等で、公平な同じ人間なんだから、お互いを尊重し合いましょうね、という部分の気持ちこそが、真の連帯に必要なものなのだと思います。


私の知っている範囲や経験値はまだ非常にささやかなものですが、それでも同様の体験を近い人からも自身でも、何十年と運動をされて来ている方々からも、異口同音に似通ったトーンの事柄を無数に聞くので、すでに確信しています。
このような日本社会全体の投影として起きている抑圧や排除・吊るし上げといった内幕を知った人々が幻滅して、運動が大きくなりそうになっては分裂し互いに消耗して停滞する、これが繰り返されているのが小さくない実態なのではないでしょうか。
言語道断だし、そんなので上手くいくはずがないではないですか。だから、現に上手くいっていないのです。

そうした当然の結実として、私たち市民は、都合よく支配したい権力側の、様々な暴挙と策略、器用な広報戦略にまんまとやられ続けて来たのではないでしょうか。
戦後の日本史を紐解いて学ぶと、何度か市民運動が国民の大多数の支持を得て、日本が成熟した民主主義社会へと近付いていける大きな転機はあったようですが、毎回その機会を逃し続けた。
それは冷戦時代の日本を取り巻く国際情勢の苛烈さや権力側の巧妙さも大きかったのでしょうが、やはり普通の日本人一人一人が十分な人権意識、民主主義思想を持っていなかったし、集団として集まって何かやろうとする時に適切な自浄作用をキープ出来なかった、そこにも大きな不幸があったはずです。

救いなのは、市民側の運動体の中にも、そうした過去への反省から理知的な自覚とバランス感覚を育んで、その集積された経験値を仲間同士で共有して、ヒエラルキーの暴走に注意深い見識を持っている人々が大勢いる点です。
しかし、それでもそうした人々や組織が、新規に社会活動に参画して来る人たちを十分に掬い上げれるほどの規模には達していないと感じますし、また、そうしたところの活動だけで運動として足りる訳でもない。
つまり、私たちが始めなければならないのだと思います。私はもう若者と言えるほどの年齢でもありませんが、バブル期前後のノンポリ世代も自分たち一人一人で民主主義へ目覚めていく必要があります。それを自分の身の周りの人たちに伝えて広げていく地道な努力が大切なはずです。

簡単な話です。民主主義をやりましょう。民主主義がやりたいんです。
手を取り合い、尊敬出来る先人がいたならば、その姿から素直に学べばいいのです。民主主義をやらない人たちが多かったならば相手にせず、私たち自身が民主主義を始めましょう。それが民主主義だと私は理解しているのですが、違いますか?
by catalyticmonk | 2015-03-14 11:02 | 希望社会 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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