トラウマを乗り越えることについて③:各段階の救済アプローチ

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でも、世の中、男女差別とか、虐待とか色々あるが、そういうかなり頻繁にある問題の要素の一個が地に足の着いた形でしっかり世に理解されていないと、どんな社会問題のテーマも実際の真偽が定かでなくなる。
結構、そういうことって多い気がしている。
今の社会の常識に安住していても始まらないのだ。
そのままでは、まるで古代ローマ人が昔、女性は感情の生き物だから、妻は叩けば叩くほどしつけられる、なんて言語道断な女性観を持っていたのと同じ、世の5%の人はLGBTとして生まれてくるのに、80年代まで精神障害扱いだったのと同じ。
必要な理解が十分にないことによる「野蛮」な混乱が起こり続けてしまう。

とにかく、人間の無知は一個一個紐解いて明らかにしていくしかない。
例えば自分の祖母の時代だったら、愛知県濃尾平野の農村部での大正時代や昭和初期の話という事になるだろうが、双子が生まれたら鬼子だ、と呼んで、片方の子の鼻を産婆が摘まんで殺していたそうだ。
実際には口減らしだったのだろうが、そういう行為にも漠然とした迷信や思い込みで深く考えないで済ますようにしてきた。
別にボーダーだけの問題ではない、当然。でも、目につくところから、着実にそういうことを減らしていかなければ、人間の無知による差別や抑圧、誰かへの虐待、ということもなくならない。

私は、やはり虐待家庭で生まれたから、そうした家族問題が自分の人生のテーマだ。
逆に、私の実体験からはピンとこない種類の虐待も存在するのを、4人もの子育てをされているベテランお母さんから聞いたりもしている。あまり、虐待に思われない形でこれ以上ない虐待は、「萎えさせる」でしょう、と。
親の子供に対する過干渉で、あれこれ「良かれと思って」手を回し、アドバイス、時に叱咤激励して、人生の舵を乗っとること。
母子がサシで暮らしてたら、ほとんどこうなる、とその方は言われた。そこら辺は私には正直実際どうなのか分からない次元の話だ。

昔の人は、妻を叩きまくって鬱にして従順な風にしたり、間引きをして食いぶちを減らしたり、まあなんと野蛮なことか!と大概の現代人なら認識すると思うが、今だって形を変えた野蛮なことは起こっているのだ。
学校教育だって、ある種類の学習入力の仕方をする子どもにばかり有利な教育システムだと思う。
成績が悪い、運動が出来ない、友達の輪に入れないなど、今なら、LD、知的障害、などの言葉が生まれたが、以前は、いつも叱られ、いじめられ、蔑まれる身分だった。性的少数者も同じく。

もっといろんな教え方で、指導できるようになれば、たくさんの人が希望を持てるようになるのは当然の道理だろう。
また、いろんな方々の家族史を伺っていると感じるのは、人間は人生に戦争が絡むと、どの家族史も流転の人生となって、発達障害と一般人の差異どころではなくなるのだろうな、という強い印象。団塊ジュニア世代である私が、周囲の人の混乱した家族史の出発点に太平洋戦争が絡んでいる点を薄っすらとでも確認出来る、ギリギリ最後の世代かも知れない。
もちろん、後年、平和な時代になって来てからは、それぞれの自分の家族がどんな精神構造の在り方であるか、というのは重要なテーマになってくると思うのだが、何より避けなければいけないのは戦争だ、といろんな方々の家族史を伺っていても感じる。
そうした意味でも、社会構造そのものに目を向けていくのは、ミクロ、マクロ様々な段階で、やはり大切なことだと思う。

それと、自分の子供の頃の不幸自慢は精神衛生上も悪いし、愚痴っているだけにも聞こえやすいので、理解出来る内容でこうした様々な実話を聞いておくと、社会的に対応する場合により熱を冷まして冷静に眺める余地が生まれる。
自分自身の現実からガチガチに縛られたところから、もう少し角度を変えて見れるようにもなってくるのだ。

しかしまたトラウマからの救済という次元では、やはり個人の内面の在り方になってくるとも思う。当事者も自分の過去をネタとして使うと、もうそれが済んだ過去の出来事で今は全然表立って問題になっていないことでも、またそれが心の現実として再現されてしまう部分がある。


社会問題を扱う時には、具体的な実話が説得力を持つが、他人の話であってもその扱いや距離の取り方みたいなものは難しいと思われる。
辛い思いがある場所には、濃い情念も渦巻くから、そうした感情の勢いというのは人を大きく吞み込みやすいものだ。
自分自身が、情念の外側に出れるような軽やかさをどこかで身につけないと堂々巡りにもなり兼ねない。
それは差別や人権問題、貧困問題を扱っている団体自体が、ともすれば毒々しくなりやすい理由とも関係していると感じている。

私も過去として持っているものは濃い口なので(笑)、その分、実は案外、修羅場や嫌な感情からポンと飛躍する能力もそれなりに身につけている部分もある。
私は虐待ネグレクトの家庭が人生の出発点だった。誰かと大喧嘩したり、何か重大なトラブルが継続している最中であっても、そんな修羅場の多い人生なら合間合間に精一杯気分転換したり楽しみたくなるものだ。
関係のない場面まで重い気分を引きずるよりも、一旦はギアチェンジ。その加減が結構激しいので、他の人には理解不能な部分もあるらしい。

一般の人は、苦しい時には苦しい、楽しい時には楽しい、と気分が全体的に変化していく頻度がもっと高いようなのだが、私の場合はいろんな喜怒哀楽を並行で抱えつつ、ちょっとずつ消化していかないと、怒りや悲しみの感情だけでも、馬鹿騒ぎだけでも身がもたない、というような感覚が子供の頃から支配的だった。心が脆い分、ストレスに対してもっと自分をどこか外側から観察している部分を確保しておきたい、という気持ちが強かったんだと思う。
健康管理に関してもそうだ。持病に苦しんで悶絶している同じ日の数時間後には楽しく笑って、体が許せば美味しいものをバクバク食べる図々しさ、これが私なりに身につけたサバイバルのコツだった。


だけれど、ベースが結局重いし、また、真剣に扱わなければいけないテーマも多い。
でも、そういうのを理性の上では合理的に対応しているつもりでも、深層心理としてはなかなか真に五感と情念の外側に逃れ難いものだ。
どこかで深く思いがとらわれていて、ぐーっと凝縮するような感情が内にあると、心を病まなくても早くにガンになったり、健康を壊しやすくもなる。そういうのも絶対あると思っている。

全共闘世代の活動家など、経過を聞いていると後にガンになるなど重い病気になって亡くなっている人が異様に多い。彼らの思想信条の是非はさておき、やはり追い詰められて過酷な人生だったのだと想像する。
だが、自分の思いに偽っていて安穏に快楽だけ貪ろうとしても、人間はすっきり生きれない。そういう綱渡りが人生なのだろう。

それこそ巡り合わせや運次第でも左右される、誰しも完璧にはこなし切れない、だけれどみんながそうしたバランスの中で生きている、そういうことなんだと折にふれて自覚して、自己の軌道修正をすることも大切だと感じる。
で、結局何が心と体を蝕むトラウマから人間を解放するのか、と言ったら、一つには穏やかな暮らしをしたり、恋をしたり美味しいものを食べるなどして、嫌なことを忘れて自分の人生を楽しむことだろう。

しかし、それでさえ拭い去れないものこそが本当のトラウマだったりもする。
そうした場合には、やはり邪心を捨てて何かに一生懸命になることが大切だと思う。五感や記憶、感情によって深く心の奥底に刻み込まれたしこりの外側に出る行為、どれだけ軽やかに飛躍できるかが重要になってくる。
山登りやスポーツを通してもスカッと出来るかも知れない。でも、それは徹底してやらなければならない。祈りのようなものでなければならない。
祈り、という感覚は、本来、現世利益的な願望のためにする加持祈祷の類いではなくて、そういう人間をしがらみやしこりの外側へ意識を飛躍させる精神性全般を指した、人間にとって普遍的なある感覚を示しているのだと私は感じる。

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by catalyticmonk | 2018-09-30 23:08 | 忘れ物 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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