エホバの証人

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あの信者の大半がとても善良で真面目なことは確か。
ただ、教義や組織の体質が、というところでカルト宗教視されているのだと思うから、本当はそれを言ったらアウトなものは他の宗教団体や政党組織も含め色々多い気がする。

私の幼少期、母がエホバの証人だった。
で、私の幼なじみのかよちゃんのお母さんに勧めて熱心な信者にしてしまい、それが原因で先方のお父さんと不仲になって離婚する、という事件があった。確かその前にかよちゃんのお母さんがバイク事故を起こして、入院した際に、エホバの証人の教義の問題から輸血拒否をして騒動になる、という出来事もあったように記憶している。

かよちゃんと、「かよママ」と呼ばれていた彼女のお母さんは、同い年のかよちゃんが小学校に入る前によその町に引っ越して行った。だけれど、私の母はというと、自分はさっさとやめていて、そういう騒ぎも「よその家のことだから」と冷淡なもので、そこらへんもやっぱり訳が分からない感じだった。
エホバの証人を信じていてもバプテスマの儀式を受けるまでは、聖書を研究している「研究生」と呼ばれる。母は研究生のうちにやめていて、バプステマは受けていない。

かよちゃんは哺乳瓶を抱えながら二人で床をゴロゴロ転げ回っていたような、物心ついて以来の一番の仲良しだった。保育園に入って気弱な私が地元の粗野なクソガキどもにいじめられているといつも飛んできて庇ってくれるような子だったから、その子が消えた経過に対して母が非常に薄情であることを子供ながらに強く恨んだ。

元々、近所にエホバの証人のコミューンがあって、母は膠原病という難病だったから、田舎の若者特有の浅い気持ちで近寄っただけなのかも知れない。母は後年、私が中学生くらいの時に聞いたら、「終末思想というものを信じていた」「病気である自分が救われたいという、藁をもすがる気持ちで引き寄せられていた」と端的に語っていた。

エホバの証人の信者は、とにかく「ハルマゲドン」を信じている。
創始者によって1914年に起きると予言されていて、その年にたまたま第一次世界大戦が起き、信者が拡大した。

ハルマゲドンが起こると、地球が崩壊し、その後、信者らが生き残る。エホバの証人の教えに反対した人たちは生き残れないから、毎週、地域を訪問して、「世の人」に生き残るチャンスを与えるため、彼らを救うために勧誘する、という理屈。
教祖はおらず、信者の集いという建前なので、正式名称が「ものみの塔聖書冊子協会」と言う。だから、みんなが「聖書研究者」と呼ばれている。

だから、私にとってエホバの証人と聞くと、教義の良し悪しの解釈は信仰上の問題として脇に置いたとしても、現実、入信すると家族関係が壊れかねないほどエキセントリックな宗教で、また逆に極端に問題のある家庭や、人間的にどうかと思うような行動をする人種も引き寄せる何かがあるもの、という印象は残っている。

30代になってから留学して数年を過ごしたインドでは、大阪出身のエホバの証人のコミューンで育った若者と出会った。彼は私が32歳くらいの頃に会った時、まだ21歳くらいだった気がするけれども、ドレッドヘア姿ながらすでに30代くらいの大人に感じられた。
彼は15歳の時にエホバの信仰を取るか、家を出て行くか、どちらか選ぶように言われて、家を出て行くことを選び、鳶職などをしてお金を稼いでインドに来た、と言っていた。
私の所属していた瞑想センターにもコース受講しに来たし、その後も、カルフォルニアのヒッピーコミューンっぽい集団と自転車でメキシコ旅行したり、タイ式マッサージ師としてイスラエルで活動していたり、とまさに世界中を飛び回っている様子だった。

エホバの証人では、信者同士のことを「兄弟姉妹」と呼ぶ。
兄弟姉妹で集まって毎週集会を行い聖書の勉強をしたり、「奉仕」と呼ばれる布教活動を行ったりする。争いや政治参加が禁止されている。
エホバの証人の「エホバ」は、全知全能の神ヤハウェのことを指す。エホバという神以外は崇拝してはいけないとされ、教えの出典はすべて聖書。エホバの証人とは、つまり「エホバが正しいと証明する人」という意味。イエス・キリストはその息子であり、代弁者である。
いずれ来るハルマゲドン、世界の終末の後に楽園がやってくるから、その楽園に行けるよう現世ではエホバの教えに従って生きましょう、という教え。

留学する以前にも海外放浪をしていた時期のあった私は、サルベーション・アーミーとかYMCAを安い旅先の宿泊場所として利用する機会は多かったし、そもそもロサンゼルスでは教会のホームレス支援ボランティアにも参加したりしたから、当然宗教のことは聞かれた。
幼い頃に母がJehovah's Witnessesに入信していた、でも今私自身は特にどこの宗教にも属していない、という説明をすると、みんなが100%私はクリスチャンである、と認識するらしくて、正直若い頃は戸惑った。

「神を信じているか」と聞かれればその答えは当時もyesだったのだけれども、なんとなく本物の宗教団体に所属している人たちのいる前、しかもそういう勉強会などで相手の受け取り方も含めて考えたら簡単に「信じています」なんて安易に答えていいものか返答に窮するところがあった。
そこら辺の考えがまだ整理がついていなかったので、「分からない」と答えると、みんな血相を変えて私の体に文字通り数人がかりですり寄ってきて、表情を見ると本気で心配して我がことのように動揺さえしているのが伝わってきた。
励ますように熱心に「信仰を復活」させようと説得しようとしてくるのが、なんだか悪いけれども困るのを通り越して苦笑したい気分だった。

それくらい、信心が一般社会にない世界の中でも特殊な環境に日本人はいて、自分もその環境なりの下地だった、というところなのだけど、多分、社会関係的に宗教を帰属する先として求めていたなら、それで誘われるがまま何かに入信したのだと想像する。
ところが虐待を受けながら育った私は、逆に自分の中で神との対峙を幼い頃からしてきていたので、だからこそ何かに教化され難い性質を持っていたのだと今なら分かる。
神的な体験を妨げるのが宗教団体や組織の中の権威である面も否めないと思う。しがらみ意識や知的理解をちょっと脇に置いた方が、内的な発火を妨げないで集中が促される側面がある。

母が研究生のままやめたので、私は地域訪問にも行かなかったが、王国会館と呼ばれる場所で緩く幼児向けの彼ら風「聖書教育」は受けさせられていた。
また小学校に入る前のことなので次の点も関係なかったが、エホバの証人では「偶像崇拝」が禁じられているので、国歌、校歌を歌ってはいけないそうだ。

とにかく「聖書原理主義」だから、色々なタブーが多い。
輸血は禁止。
争うことも禁止なので、もちろん運動会も参加してもいけない。
誕生を祝うことも禁じられているし、異教の行事への参加も禁止されているので、ひな祭りや七夕などの季節のパーティ、誕生会も不参加。キリストの誕生日のお祝いであるクリスマスもダメ、と言うエキセントリックさだ。

私が子供時代に誕生日を祝ってもらっていなかったことの原点は、母のネグレクト体質もあったが、やはりエホバの証人の影響もあったのかも知れない。
また、私は物心ついた時から一貫して球技全般やトランプゲーム、ギャンブルといった類の競争に一切興味が湧かず、案外、人生最初期の刷り込みは作用しているのかも知れない。

入信し洗礼を受けた人には、腐敗した現実社会が嫌いで強い厭世観を持つ人が多い。エホバの証人の世界は、争いや政治的苦悩もなくて、納得して所属している人にとっては、ある意味、楽園のような場所だ。
エホバの教えを知っている自分達が賢くて、反対している人は教えを知らない可哀想な人達だと本気で思っている。

だから善意で勧誘する訳だけれど、熱心に奉仕活動をするには普通には働けない。奉仕は平日にもあって正社員には難しいので、就職しない人が多い。だから、パートやアルバイトで生活費を稼ぐ人が多い。

ただ、うちの親は「兄弟姉妹」に馴染むには、あまりにも規格外の人間だったからこそやめたのかも知れない。
素行不良の癖に、元ヒッピーで胡散臭いオカルトな話に惹かれやすい父が最初に関心を持ち、母に教えたら病身だった彼女が救いを求めて一時期ハマっていた、というそれだけだったのだと思う。

今は、エホバの証人も二世が多い、とこの間渋谷駅前で布教活動している方に聞いたら言っていた。
コミュニケーション能力があって日本人的な意味での協調性も高いと、エホバの証人の共同体内で関係を作って、ある意味幸せに生きていってしまうのかも知れない。
みんな肯定してくれるし、居場所になる。
しかし、「世の人」と何かと違いを感じて、自分達が正しいと信じている自縛があるからこそ、余計に窮屈なものを感じつつ生きている様子は、脱会した信者からも伝わってきた。
恋愛も、信者の間だけで、外部の人との恋愛は許されないそうだ。デートにも親がついていくとか。二人きりになって聖書の教えに反する婚前性交渉をしたりする事がないように気を付けているからだ。

また、母が入信していた頃、私はよくベルトなど鞭状のもので生尻を打たれた。父親は元来粗暴な人物で、感情の赴くまま暴力を振るう人間のクズだったが、母はそうでもなかったので、突然そういう激しい行動を取るのがショッキングだった。
最近になって知ったが、エホバの証人は聖書原理主義なので、これまた聖書に「子供の躾けには鞭で打つ」と書いてあるので、特に自分達の子供が教義に背くような発言をすると鞭か鞭状のもので生の尻を叩くそうだ。
聖書が書かれた時と現代の違いという時代考証も出来ない彼らの頑迷な考え方は、鞭ではなくて無知だ、と私的には感じる。

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by catalyticmonk | 2018-08-16 23:02 | 忘れ物 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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