自立と支え合いの狭間にある尊厳について

e0296801_14514988.jpg
誰しも、まずは言葉に出していかないと、自分の中で抱えきれない部分の負担はどこかで破綻してきてしまうものです。
ただ、夫婦関係なり親子関係なり、不用意に話すとお互い自身の不評を買ったり、相手を傷付けたり怒らせたりして余計にマイナスに働く場合も当然あるでしょう。だから、一人ひとり苦労も多い訳です。
でも、答えにすぐにならなくても、取り敢えずその時に言いたいことを言える相手がいるかいないかは重要な点です。これができないと、人間は自分のキャパシティを超えた部分のものをなかなか前向きに解消する契機をつかめないのです。

私は全然優れていないし、結構波乱に満ちた人生でしたが、その経験と個性なりに率直に物事を考えて言葉にする、という性質があります。そのせいか、人から打ち明け話や意外な相談をよくされます。

でも、しんどい時に自分の打ち明け話をしても、否定されたり無視されたり、という体験って、人生につきものですよね。これは、本当にとても辛い。
時として深い心の傷を負うもので、元の相談事以上の苦痛さえ生み出しかねません。そういう体験をすると人間は次第に疑心暗鬼になっていきます。
そして、ますます孤立していくか、ごり押しのパワーゲームで世渡りしよう、という競争的な姿勢を人々の心に生み出して、世界の不幸の端緒となったりします。

よく分かってくれる他人なんて滅多にいないものです。みんな、通り一辺倒な型にはまった一般論で何かを言いたがります。
あまり特殊な状況でない平凡な境遇の人、もしくは似た者同士の身近な狭いコミュニティーの中で暮らしている個人なら、そうやって相談していても、ある程度までは上手く噛み合うのでしょう。
そして、往々にして宗教や何らかの思想信条、政党といったつながりの共同体が威力を発揮するのはそういう部分なんですね。

私は、相手を見ていて、「この人は絶対に深い信仰心なんて持っていないし、信じる宗教の精神的な教えに従おうという意志もない」と感ずる人に大勢会ってきました。
それでも、そこの宗教組織にその人が帰属している理由を考えたら、ある種即物的・実利的な部分が大きいのだな、と感じる場合が多かったです。家族が信者だからとか、親戚や同じ共同体に属している者同士のネットワークにその人の人生が深く根付いていて、その替えがすぐには利かないとか、またはそうしたものが魅力的かつリアルな救いであるから、といった事情や事柄があるようでした。
これは、他の思想信条を建前につながる非営利的な共同体でも、似通った傾向や構図が頻繁に見当たります。

でも、人間はある意味でみんな孤独なんですね。
個性的であったり、自分に正直に生きよう、自立した考えで行動しよう、というスタンスの人間は、たとえ一見それほど特殊だったり、マイノリティーの境遇のスタートラインでなかったとしても、必ずその「理解やサポートを周囲から容易に得られない状態」を体験することになります。
個性的かつ自立した判断をするということは、一瞬一瞬がマイノリティーになる、保障のない選択をしていく、ということだからです。

人間は誰しも自分が理解しやすい想像の範疇でまず他人を判断しようとします。だから、何か特異な個性と独立独歩な選択をしていく人物は、相手の心の狭い部分や偏見を積極的に引き出してしまいやすくなります。自立した判断をしながらも、上手く生きていこうとするならば、「共通言語」で自己表現をする、という能力も必要となってきます。
私も特殊な生い立ちであったし、その上とても不器用でしたから、小さい頃にはいじめられっ子だったし、ずっととても孤独でした。

でも、だからこそ物事を深く掘り下げて熟慮する習性が身についたし、むしろ隙あらばどこへでも入り込んでいって相手と親しくなるという、必要に迫られて体得した独特な能力もあって、かえっていろんな幅広い人間と知り合えました。また、その人たちから思いもかけない打ち明け話や相談をされ、また厚遇を受ける、といった恩恵も得てきました。
すべては一風変わっているからこその成り行きと、その中で自然と身についた処世術です。

まあ、人間は、不足しているものがあればそれなりに何かでそれを補うしかありませんし、こうでなければいけない、という定まった答えがあるものでもないようです。
ただ、それでも言えるのは、誰しも一人では生きられない、という真実です。お互いに潰し合わないような形で誰かと関わり、双方の尊厳を認め合う形で距離も保ちながら、それでも支え合って生きていくしかないのです。
これは個人個人の人生に対しても、社会が追求せざるを得ない課題としても、ずっと存在していくのだと感じます。
e0296801_14531083.jpg

[PR]
by catalyticmonk | 2017-01-01 14:52 | 忘れ物 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


by catalyticmonk

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
インド生活
貨幣経済
学校教育
チャップリン
経済開発と環境破壊
忘れ物
輪廻転生
言論の自由と情報リテラシー
自己経歴
名古屋及び尾張地方の土地柄
貧困差別・人権教育
不安夢
旅の糧
異端者を作り出し疎外する社会
瞑想センター
大量消費社会の本質
読書
Drawling Stone
ネアンデルタール人
盗作事件
プロパガンダ報道
ゆとり社会
皆影響され翻弄される
人間は必ず過ちを犯す
地球人
優越感の生物学的功罪
グローバリゼーションと全体主義
衆愚政治の回避と個の確立
季節の変わり目
ネグレクト、児童虐待
生と死のリテラシー
宗教の救済性と排他性
地元意識と首都
ブラック企業
反戦
湯宿ファンタジー
福島第一原発事故
陰謀論とオカルト
魔女狩り
性の分断
ジェンダー
依存症
ネオテニー論
ゲマインシャフト
希望社会
意思疎通
メディアリテラシー
個の尊重と人権
イスラエル
風俗業
集団的自衛権
嫌韓嫌中
サイコパス
ごみ屋敷
呪術
ファッション
食品添加物
ポジティブ思考
表現の自由
太鼓持ち芸人
無縁社会
経済と個人の実存
ヤンキー文化
精神医療
監視社会
相互抑圧
思想の自発的更新性
消費課税
高度情報化社会とSNSに感ずる諸々
草の根市民運動と選挙
マイノリティー差別
喫煙
人間の尊厳
支配構造
地震
食事
セクシャリティ
推敲
オトコ
アイドル
人権
医療問題
ハリウッド
ハイコンテクスト文化
神道とヒンドゥー教
いじめ問題
トンデモ情報
未分類

フォロー中のブログ

最新のコメント

接客していても、買い物を..
by 通りすがり at 03:10
> 23さん 確かに、..
by catalyticmonk at 15:25
10代、20代の馬鹿女に..
by 23 at 11:22
管理人さんは「右翼思想犯..
by 脊髄反射を厭う右の人間より at 09:47
私だったら、ストレートに..
by catalyticmonk at 03:26
さて、その上でここから先..
by catalyticmonk at 01:07
別にそういう事はいくらで..
by catalyticmonk at 01:06
大学4年男です。 自分..
by dai at 15:08
ありがとうございます! ..
by catalyticmonk at 11:13
どういう検索ワードか忘れ..
by a.o at 21:14

メモ帳

最新のトラックバック

venushack.com
from venushack.com
venushack.com
from venushack.com
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
呪術師,寄合,メディア
from 哲学はなぜ間違うのか
シールズ関西のブログ記事
from 御言葉をください2

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

付きまといといじめ心理
at 2018-10-15 23:50
議論と寛容
at 2018-10-01 00:24
トラウマを乗り越えることにつ..
at 2018-09-30 23:08
トラウマを乗り越えることにつ..
at 2018-09-29 00:12
トラウマを乗り越えることつい..
at 2018-09-28 22:39
異なる正義のあなたと私が共に..
at 2018-09-25 00:26
協調性に満ちた吊し上げ社会
at 2018-08-28 00:50
エホバの証人
at 2018-08-16 23:02
信頼と絆の根
at 2018-08-16 12:36
このいじめ体験の告白動画、感..
at 2018-08-07 00:44
私がトンデモ情報に慎重な理由
at 2018-08-06 00:03
強い個性を求めない日本の大衆文化
at 2018-08-05 11:29
忘れ物
at 2018-08-02 22:46
人間存在の自由尊厳と政治制度..
at 2018-07-30 00:17
公衆道徳の劣化と混乱②
at 2018-07-03 01:43
公衆道徳の劣化と混乱②
at 2018-07-03 01:43
照れずに自己アピールするか、..
at 2018-07-02 00:23
就活と異端者
at 2018-07-02 00:15
政治や文化環境が助長している..
at 2018-07-01 23:37
自分完全正義偉い!の人
at 2018-07-01 23:21

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

健康・医療
哲学・思想

画像一覧