異端者の風貌

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昔、元赤坂のナンバーワンホストだった男性と仲良くなった事がある。彼は傷害罪だの詐欺罪だので逮捕歴が多かった。だけれど、親しくなると全く真面目な悪どいところのない性格で、どうしてそんな人生だったのだろう、と不思議だった。
ただ、互いに似た者同士な何かの空気を感じていた。
彼は私より年上だったが、30代になってもパッと見ると10代の少年のように見えた。

聞くと、それで幼い頃からなめられて馬鹿にされ、喧嘩ばかりしていて不良少年となり、少年院にも行き、流れ者のような人生の中でホストやキャバクラのマネージャーをするようになったのだと言う。
「こんな、なめられやすい顔に生まれなかったら、また全然違う人生だったろうけどねえ」
そうやって呟いた彼の言葉を忘れられない。

e0296801_11385565.jpeg私は昔から自己愛は強いナルシストであったが、地味に目立たないようにいたいという願いも半分では持っている。目立つと、赤の他人が勝手に自分の世界を乱しに来るからだ。
先日も電車から降りる時に扉のそばにいた若い女性に通り掛けざまに「ワッ、キモい」と吐き捨てるように言われた。思い違いではない。私には頻繁にそういう事があるのだ。
繁華街で見知らぬ若造に絡まれる、なんて事も未だにあって、その話をSNSに書いたところ、ある人に「今時、繁華街で絡まれるなんてあるの?」と言われた。別に相手に罪はないので腹は立たなかったが、「普通の人はそんな事が滅多にないのか」と私の方が改めて軽い寂しさ混じりのショックを覚えた。

そんな髪の長い目立つ風貌をしているからじゃないのか、と言われる事もある。ところが、私が髪を短くしてスーツ姿なんかだったりすると、何故かもっと絡まれたり不愉快な出来事に遭遇する。これも本当だ。
だから、どうせなら自分のしたい姿格好でいよう、と反骨精神混じりに感じて、今のようなスタイルになった。

だいたい、人を見掛けだけで、知りもしない赤の他人に向かって「キモい」とはなんだ。
いやいや、そんな事を気にしていても始まらないよ、と簡単に言う人は、大概あまりそういう目に遭っていない。長年観察してきて確信しているんだが、そういう人こそ、私がしょっちゅう経験している事柄の十分の一くらいの話でカンカンになって怒り出したりする。
そして、その一個二個の出来事をいろんな話に使っていたりするので、彼の崇高な精神論が如何に経験に基づかない頭の中の思考実験であり、自己満足に過ぎないものを他人に押し付けている傲慢さだったか痛感する事となる。

あなたやあなたや、そして私自身の話を言っているんですよ!
人間はかくも愚かな存在、という深い謙虚な目線は、ソクラテスが「無知の知」を言った大昔から肝に命ずるべき真理だと思う。

で、いきなりポーズだけの謙虚さなんて無意味だという反骨精神で本当の話をすると、私は若い頃は美少年というのが定評だった。見掛けだけで親切と言うか好意的に接してくれる人達が一定数いた。
その反面で、やっぱり当時から風貌で小馬鹿にされたり侮辱される事が多かったし、もっと言うと子供時代は随分いじめられていたから、少林寺拳法や肉体労働で体を鍛えて、喧嘩して負けないようになろう、と必死だった。先述の元ホストの男性と、キャバクラや水商売関係には一切興味のない私が何故意気投合したか、ここまで話せばなんとなく想像してもらえるのではないだろうか。
彼はアウトローになったが、私はたまたま高校を出て放浪の旅に出るという脱社会化をして、犯罪社会に行かなかっただけだ。

つまり、それらの事実を総合して考えると、やはり私は気持ち悪くなんてないのだと思う。
恐らくは、異形のオーラを放っていて、勝手に目立つので、その「えっ」というような違和感が、見知らぬ相手に警戒心を抱かせ何かしらの敵意や嘲笑といった反応を喚起したり、その逆に個性的で興味や好感を持たれる対象になったり、揺れ動いてチグハグな反応を招くのだろう。

なんか、その人のキャラクターごとに呼び寄せやすい災難というのもあるみたいなんだけどね。
北九州市出身でロンドン帰りの、テキヤ時代に自分の相棒でもあった女の子なんて、道端を歩いていていきなり見知らぬ男に殴りかかられる事が何度もあった、と言っていて、本人も不思議がっていた。
あと、私が京都から広域暴力団を抜けて逃げてきた児童養護施設育ちの元ヤクザを匿っていた時も、彼と歩いていると、実際に彼は因縁なんて全くつけていないのに、普段私が遭遇しないような暴力的なトラブルが近付いてきて、世の中こういう何かが本当にあるんだな、と思った。

私には刺青は入っていないのだけれど、ヘナタトゥーという二週間くらいで自然に消えるインドの伝統的なタトゥーがあって、それのモデルを頼まれて何度か腕などに描いてもらった時があって、その時も電車などに乗ると隣にいつもは全く遭遇しないようなヤクザ者が近寄ってくる訳だ。
つまり、悪霊とか祟りとかいった次元の話でもなく、現実的な何かしらほんのちょっとの要素で大きく変わる部分が本当にある、ということなのだろう。世の中、面白いものだな、と痛感した。

それでもやっぱり何もしていない女性を襲う暴漢のおっさんや、道端を歩いているだけで絡んでくるチンピラに、ただ歩いている人間の方がそんなオーラを発しているから落ち度があった、とは言えないし、言ってはいけないと思う。
いじめられっ子は、一生いじめられっ子のままなんだ、と私に言った奴がいるが、いじめられる人間が悪い、いじめは人間社会からなくせないんだ、と言ってもいけない。いじめや、暴漢や、通り魔の痴漢や殺人鬼は、やっぱりどうにかして好き勝手出来ないようにしなきゃならない。

それは、みんなが見て見ぬふりをしない事だし、社会が弱い者や変わった人々をつまはじきにして追い詰めない、助け合いと寛容の両方の精神が文化・教育・社会制度の各面から補強されていく必要がある、という事だ。そうしていかなければ、私達自身が困っていく事なんだと思う。

国のトップにある政治家や官僚からして、悪いことでも集団で行えばチャラになっちゃうような世の中だ、と日本全体に大公報してしまっているからね。ましてや、大手のマスコミ、新聞・雑誌、芸能タレントまでそういう風潮を後押しするようなもっともらしい容認発言や応援メッセージ、黙認や太鼓持ちを現にしている。
そうした事でも社会全体の風潮って変わってきてしまう。

人を見た目で判断し、尚且つ異質なものは排除しよう、という了見の狭さが改まるのは、人間社会の人権意識が高まって、個人の尊厳や他者の多様性を許容出来る成熟した文化が育つ、遥か未来の事なんだろう。
だけれど、それを夢見て目指さなければ、近付いていく事もないのだろうとも思っている。
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by catalyticmonk | 2017-11-28 00:28 | 異端者を作り出し疎外する社会 | Comments(2)
Commented by たちはくとものを at 2018-02-08 05:55 x
 貴方の話は実によく解る。
さて『類は友を呼ぶ』と言うか何故か事件を引き寄せる磁力を持つ人が居る。
そして実は私にも少し似たような性質が有って、いつも目立たぬよう気を付けているのに、不思議や先輩とか上司からの攻撃の対象になりがち。
これはかなりキツイ(泣)。
Commented by catalyticmonk at 2018-02-08 13:03
分かります。
ただ、どのみち気を付けても厄介事を避けられないなら、自発的に「出過ぎた釘」になって、自分に自信を持って通した方が、同じ大変さでも精神的にはすっきりするかも知れません。
人それぞれですがね、そういうさじ加減は。


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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