ドロシー嬢を破滅させた銀幕魔界の話

映画「オズの魔法使」の3つの「ウソ」からわかるテクニカラーの歴史

1974年の「ゴッドファーザーPART2」の製作を最後に、Technicolorのプリント施設が閉鎖され、テクニカラーの時代が幕を閉じることとなった、って。そんな後までテクニカラーの時代があったんだなあ。

それはさておき、映画「オズの魔法使」でドロシーを演じた若き日のジュディ・ガーランドはまさに私のど真ん中で、それを語るいい機会なので、勝手に語り出す。
彼女くらい清純なイメージと乖離した破滅的な人生も珍しい。改めて調べてみてクラクラした。

「オズの魔法使」は、子供の頃はテレビでたまに再放送されていてもあまり興味が湧かなかった気がする。興味を持った理由は単純で、高校生の時にロック・バンドのレインボーのライブ盤のオープニングでドロシー嬢の声のサンプリングが使われており、それが数秒間なのに天使のように可愛らしく印象的で、映像を観たらもっと可愛いのでぶっ飛んだ、という流れだ。
でも往年のロックを一通りチェックした世代の男性なら、案外そういう人も珍しくないのではないか。

私は普通に音源で聴いたのが最初だが、そのレインボーのライブ映像があった。動画の26秒目くらいからジュディ・ガーランド演じるドロシー嬢の魔法のように魅力的な声のサンプリング音声が流れ出す。

オズの魔法使(The Wizard of Oz) - Part 1

ジュディ・ガーランドの人生は、もう戦前・戦後のアメリカのハリウッド映画界の乱れっぷりを濃縮反映したような猛烈なものだ。
娘の同じく女優であり歌手のライザ・ミネリによると、「母はハリウッドに殺された」のだそうで、13歳から薬漬けにされた美少女は徐々に精神を病み、FBIにもマークされるほどの薬物中毒に陥り、1969年、遂には睡眠薬の過剰摂取にてこの世を去る。

10代の娘にダイエットさせようと当時合法だった覚醒剤を勧めたり、そもそも1935年に大手映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)と専属契約する時にも、プロデューサーのアーサー・フリードが当時13歳のジュディと性的関係を持っていたため、他の候補者を蹴って契約を結んだとか、もう無茶苦茶で(https://matome.naver.jp/odai/2141958289562043101)、娘を持つ親なら絶対に近付けてはいけない世界の典型な気がする。
今はそうでもない場合もあるのかも知れないが、芸術文化・音楽・芸能業界は古今東西問わず昔から乱れている方が通常運行だったよう。それにしてもハリウッドは酷過ぎる。

肝心の「オズの魔法使」の制作時の逸話も悪魔的。
ガーランドの元夫シド・ラフト氏が回想録「Judy and I: My Life with Judy Garland」の中で、ガーランドは性的嫌がらせを受けていたと告白している。
「オズの魔法使」で、ドロシーを黄色のレンガ道に案内するマンチキンを演じた俳優たち数人が、当時10代のガーランドに性的嫌がらせをしたと、ラフト氏は本の中で訴えている。見事に夢をぶち壊してくれるじゃないか。

雑誌『ピープル』の特集には、「彼らはセットの中で、ジュディのドレスの中に手を入れたんです。彼女の人生は台なしになってしまいました…マンチキンの男たちは40歳かそれ以上でした」と記されている。
「彼らは自分たちがとても小さいので、何も罪を問われないと思っていたんです」
本人も「彼らは毎晩襲ってきましたよ」と告白していた(http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/09/judy-garland_n_14650996.html)。

なんと言うか、邪悪な世界そのもの、といった感じだ。それにぐしゃぐしゃに潰された波乱の人生。
それでも、こんなに魅力的な「オズの魔法使」でのジュディ・ガーランド。
薄幸にして劇的流転の人生の代表例と言うか。可愛い娘は虚飾の世界に入れると大変なことになるかも知れない。
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by catalyticmonk | 2018-01-17 21:33 | ハリウッド | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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