精神論の意義と限界、その功罪について

e0296801_01484600.jpg
e0296801_00504069.jpg
ま、男女問わず、自分の方が上に立って話を締めようとする人はいるもんだ。
で、なんで上に立とうかとするかと言ったら些細な思い込みが発端だったりするんだな。
ここで分かっていても下手に出られる人は温厚、分かっていなくて素直に乗せられてしまう人は僕扱いされていく。

最近、人間同士の実際の争いやいがみ合いの元は、現実的にはかなりそういう次元にあると感じ出している。
人権意識、男女平等、暴力反対、色々な道理や主張があるけれど、根っこのところは、自分とは違う他人の言葉や行動、性質への不理解、という要素が大きい。

e0296801_00494185.jpgだから、今も昔も、ちょっと不器用な子供は学校でいじめの対象だし、その社会で少数グループに位置する集団は迫害や蔑視の標的にされる。
そして、ここが見落とされがちな重要ファクターなんだけど、どんな思想信条、出自、所属集団、年齢性別の区別なく、負けず嫌いな人は思い込みで攻撃を仕掛け出してしまいやすい、という事。

夫婦喧嘩が絶えないのも男女の性質差という巨大な不理解の火種があるからだし、差別や迫害を受けていた個人や集団が憎まれ続けやすいのも、その出自や立場が少数グループであるが故に、世間との理解の溝が存在しているからだ。また、迫害されてきた側も、迫害を受けてきたが故の強い思い込みから、悪意のない相手にまで牙を剥くから嫌われる、という悪循環があったりする。


ユダヤ人が何故迫害されてきたか、と言ったら、現実の彼らをしばらく観察して見たら、よく理解出来ると思う。
彼らの押しの強さは相当なものだ。絶対に負けたくない、損をしたくない、という強固な意志が満ち溢れていて、だからこそ少数グループでも多くの才能と経済的成功者を生み出してきたのだろう。また、だからこそヨーロッパ人がユダヤ民族に辟易している実態も、過去からの文化的偏見である以上に現在進行形で継続している。
だけれど、そもそも彼らが何故そういう集団になったかと言ったら、やはり特殊な宗教観を持つ少数民族として、長年世界中に散らばって商売して生き延びてきたから、という必然性も大きいのだと思う。

でも、一方では、何も苦労していないけれど、わがままに育っていて、負けず嫌いで思い込みが激しい、なんてタイプもそもそも世の中に多い。これではどんな立派なお題目を唱えても平和な世界にならない訳だ、と納得するところもある。

一個だけ共通性があるのは、自分とは違う他者への不理解故の横暴だ。
その解決策は、何か決められた一つの正義を絶対視する事ではない。自分とは異なる他者、外側の世界に対して、相手側の多様性を認める事と寛容でおおらかな態度を取る事が本質的な解決策だ。
それには個々人と社会の全体が、文化や教育、個人的意志によって、意識改革されていく事が大切なのだ、という結論に毎回私は行き着く。


e0296801_00520351.jpg
根本的なところを一個言うと、勝とうと思う競争心が争いを招くのだ、という主張を、抑圧されたくない、侮辱・迫害されたくないと思う人々の希望と同列で語ってしまうと間違いだ、ということ。
ここは凄く重要だ。もちろん、性質的には通底している話なのだが、それをどの場面で、どういった意味合いで使うかが肝心なのだと思う。

まあ、まずそこは東洋哲学的には定番なんだ。負けを意識する競争心があるから勝とうとする。勝ち負けなど存在しないのに、人間は愚かだ、というようなところを平和主義の基礎として東洋社会では長年語ってきた。
しかし、程度問題だ。日本の学校でいじめられている児童の訴えを聞いても学校側が度の過ぎた協調性や自己努力を期待して、結果、陰惨ないじめが放置され、いたいけな子供の自殺が起きてしまう背景にある大人側の観点も、大概はそこと密接にリンクしている。

差別されたり、学校でいじめられている相手に、あなたが怒らなければいい、みんなと仲良くなれるよう努力しないのがダメなんです、そこで上手くやるのがコミュニケーション・スキルです、と言って、パワハラや民族差別、弱いものいじめをする加害者には何も言わないで、長いものに巻かれろ、強い者に従順に従えと、結局、苦境にある立場の側にだけ忍耐を強いる、という社会文化的な伝統が広くアジア文化にはあった。

東洋的な受け身の平和思想は、支配者にとって都合のいい自己責任論や、儒教的な上意下達の精神風土を培ってきてしまったのも明白な事実だ。
そこは、本来の宗教家や思想家が唱えてきたものはもっと深い別のものだったかも知れない。しかし、そうだったところで、それが薄められた形で社会に広まっていった時に、どういう社会的土壌を実際に作り、長い歴史が営まれてきたか、という現実の持つ絶大な影響力は無視出来る問題ではない。

私は仏陀の伝説で、彼が悟りを開いた後(私個人は神を信じる人間で、そもそもそういう価値観を受け入れていないが)、人間に教えを説くのを躊躇していた、という逸話に関して寓話的に夢想するところがある。
仏陀に先を見通す能力が実際にあったとすれば、ひょっとしたら、彼は自分が教えを説いても人間社会に何千年と巻き起こるねじれを予見して、そうした行動に出る価値に疑問を抱いたのではないか。しかし、それでも大局的な判断として布教を開始したのではないか。

また、迫害されてきた側の人間がキツい、というのもほぼほぼ真実で、西洋哲学的な懐疑精神と、東洋的な精神論は、やはりどちらも現実に即して程度問題で計っていくしかない性質の事柄だと思う。
所詮は人間が、それぞれの主観に応じて理屈付けただけなんだ。
しかし、それでも人間は意志や気力によって生きるし、理想を思い描いて努力するので、理想は必須なんだというパラドックスが人間精神の根底にはある。
e0296801_00543274.jpg

[PR]
by catalyticmonk | 2018-04-02 00:55 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


by catalyticmonk

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

カテゴリ

全体
インド生活
貨幣経済
学校教育
チャップリン
経済開発と環境破壊
忘れ物
輪廻転生
言論の自由と情報リテラシー
自己経歴
名古屋及び尾張地方の土地柄
貧困差別・人権教育
不安夢
旅の糧
異端者を作り出し疎外する社会
瞑想センター
大量消費社会の本質
読書
Drawling Stone
ネアンデルタール人
盗作事件
プロパガンダ報道
ゆとり社会
皆影響され翻弄される
人間は必ず過ちを犯す
地球人
優越感の生物学的功罪
グローバリゼーションと全体主義
衆愚政治の回避と個の確立
季節の変わり目
ネグレクト、児童虐待
生と死のリテラシー
宗教の救済性と排他性
地元意識と首都
ブラック企業
反戦
湯宿ファンタジー
福島第一原発事故
陰謀論とオカルト
魔女狩り
性の分断
ジェンダー
依存症
ネオテニー論
ゲマインシャフト
希望社会
意思疎通
メディアリテラシー
個の尊重と人権
イスラエル
風俗業
集団的自衛権
嫌韓嫌中
サイコパス
ごみ屋敷
呪術
ファッション
食品添加物
ポジティブ思考
表現の自由
太鼓持ち芸人
無縁社会
経済と個人の実存
ヤンキー文化
精神医療
監視社会
相互抑圧
思想の自発的更新性
消費課税
高度情報化社会とSNSに感ずる諸々
草の根市民運動と選挙
マイノリティー差別
喫煙
人間の尊厳
支配構造
地震
食事
セクシャリティ
推敲
オトコ
アイドル
人権
医療問題
ハリウッド
ハイコンテクスト文化
神道とヒンドゥー教
いじめ問題
トンデモ情報
マイノリティー
ヤンキー文化とオタク文化
未分類

フォロー中のブログ

最新のコメント

また、それもよくありそう..
by catalyticmonk at 23:27
接客していても、買い物を..
by 通りすがり at 03:10
> 23さん 確かに、..
by catalyticmonk at 15:25
10代、20代の馬鹿女に..
by 23 at 11:22
管理人さんは「右翼思想犯..
by 脊髄反射を厭う右の人間より at 09:47
私だったら、ストレートに..
by catalyticmonk at 03:26
さて、その上でここから先..
by catalyticmonk at 01:07
別にそういう事はいくらで..
by catalyticmonk at 01:06
大学4年男です。 自分..
by dai at 15:08
ありがとうございます! ..
by catalyticmonk at 11:13

メモ帳

最新のトラックバック

venushack.com
from venushack.com
venushack.com
from venushack.com
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
呪術師,寄合,メディア
from 哲学はなぜ間違うのか
シールズ関西のブログ記事
from 御言葉をください2

ライフログ

検索

ブログパーツ

最新の記事

服従させるための精神論の罠
at 2018-12-15 23:02
服従させるための精神論の罠
at 2018-12-15 23:02
超管理社会と人間性の屈折
at 2018-12-10 23:32
人はそれぞれの背景ごとに違う..
at 2018-12-06 00:37
ヤンキー VS オタク
at 2018-11-27 23:51
流通とアライアンス
at 2018-11-27 23:41
生き辛さと政治行動
at 2018-11-08 00:32
話にうわの空になるオトコ
at 2018-11-07 23:40
付きまといといじめ心理
at 2018-10-15 23:50
議論と寛容
at 2018-10-01 00:24
トラウマを乗り越えることにつ..
at 2018-09-30 23:08
トラウマを乗り越えることにつ..
at 2018-09-29 00:12
トラウマを乗り越えることつい..
at 2018-09-28 22:39
異なる正義のあなたと私が共に..
at 2018-09-25 00:26
協調性に満ちた吊し上げ社会
at 2018-08-28 00:50
エホバの証人
at 2018-08-16 23:02
信頼と絆の根
at 2018-08-16 12:36
このいじめ体験の告白動画、感..
at 2018-08-07 00:44
私がトンデモ情報に慎重な理由
at 2018-08-06 00:03
強い個性を求めない日本の大衆文化
at 2018-08-05 11:29

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

健康・医療
哲学・思想

画像一覧