就活と異端者

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日本の大学での就活に幻滅してエストニアに留学したら、違う展望が開けたと言う若者の体験談と、日本の就職活動の不毛さを俯瞰するような記事(http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1806/06/news005.html)を読んだ。
話には度々聞いていたけれど、改めて思ったのは、こんな馬鹿な事を日本の大学の就活ってしているんだな、という思いが大きい。
そりゃあ、ロボットみたいな社畜ばっかの気持ち悪い世の中になるのも無理ない。日本型奴隷民の量産にそこでも寄与しているのだ。

e0296801_00273878.jpgでもここから先は、そこをきっかけに思い出した個人的過去の思い出を書き垂らしていく文章なので、あまり硬質な社会論を期待しない人だけが読み進んで欲しい。
思い出したのは、自分が高校時に学校で就職活動の面接の練習があった際の事柄と、その後の流れ。あれはまだ17歳の1989年頃だったのかな。

その面倒練習で、学校教師達がわざと意地悪な質問を得意げに投げかけてきた。
「好きな本は何ですか?」
「その本が好きな理由は?」
「へえ、モノへの真心がこもっているのが好きなんですか。真心って立派な言葉ですね、真心って」
みたいなねちっこい嫌味ったらしさ全開の精神攻撃に耐える練習とかあって、それに耐えて、優等生的な模範回答をする訓練だったのだが、当時の私はもうそこでブチ切れちゃって。

愛知県の田舎の価値観だったから、先生達も大真面目にやっていたんだろうが、要するにど田舎者の価値観の訳だ。そこでの就職練習、となると、結果的に社会の偏狭さが一気に剥き出しになるような面があった。
実際にそれが地域で就職活動するには必要とされるレベルだったのだろうし、しかしまた同じトーンが29年後の大学生の就活のみならず、日本全国のアルバイトの面接にすらないか。

e0296801_00111129.jpgでも、私は虐待ネグレクトの問題家庭だったから、誰かに屈服服従するのが大嫌いで、若い頃の座右の銘は「威張っている奴はみんなぶっ殺す」だった。
その高校生当時も既に家を出て、自分で夜勤で働いて生活していたし、そういうので大人の偽善性に怒りでいっぱいの若者だった。特別な環境だったから、そういう田舎社会の空気にも染まらない素地が強かったんだろう。

まだ高校卒業したらアメリカに行こう、と決める前だった。でも、それで就活はしない、と宣言したら学校側が慌てちゃって。周りの生徒に悪影響があるから、形だけでいいから就職面接に行ってくれ、と言う。
本気で就職する気もないのに、面接だけ行くなんて、詐欺みたいな行為で、相手にも失礼じゃないか、と子供ながらに正論を言ったら、親にも連絡して、それでもいいから行ってくれ、と頼む訳だ。

こいつらの「生徒の将来を考えて」とか言うお題目はこんなに浅ましいものだったんだな、と軽蔑の念を沸き起こしつつも、まだ高校生の子供だったからそれ以上は面倒臭くなった。
それで、1年だか3年間だかで離職率が90%以上と言う、日光鬼怒川温泉ホテルという遠方の求人募集が来ていたから、これならまだしも相手への不義理も軽くなるのではないか、と考えた。

愛知県から就活名目で行く、となれば実家も旅費を出すという事だった。
愛知県尾張地方は、どんな滅茶苦茶な家庭でも、社会的体裁に関わる事を異様に重んじる風土だ。見栄を張るし、人目を非常に気にする土地柄なのだ。
中学の時から子供に昼の弁当代も渡さないで放置していたような異常者達でも、そういう事を学校など外から言われると例外的な対応をする。
それで母親にも説得されたので、ついでに関東旅行も出来るからいいや、と思い、途中で渋谷の街で遊びつつ(なにせ自分で働いている少年だったから、高校生にしては結構お金は持っていた)、日光鬼怒川まで電車に迷いながら行ったのだった。

日光鬼怒川温泉ホテルに面接を受けに来た他の高校生も、全国各地の遠方から来ていて、素朴な田舎者、という感じの子が多い印象だった。自分も田舎者の癖に、そういう目線が既にいくらかあった。
当時の私はある部分で変に大人びていて、可愛くない子供だった気がする。半分は母方の実家の保護で育ったので、祖父母と近しい子供の特徴である柔らかな人間性も持っていたのだが、何せ実の親が完全に人間性が振り切れている危ない人達だ。なので、やはり安定して所属し甘える親や家庭のない状態だったから、普通の穏やかな家庭で育った同世代の子供とは根元から質が違っていた。

その前にも愛人囲って、母子を長年放ったらかしだった父親がしゃしゃり出てきて、企業ヤクザである親族経営の土木会社に入れるだの、お前は絵心があるから四国の陶芸家の窯に修業に行かせるだの、話にもならない狂った事を言うし、親父に暴行を受けて腰椎二つ潰して入院したり色々あった末に家を出て、一人暮らしを始めていた。
夜は工場で働き、朝方に自分のアパートで制服に着替えて学校に行き、昼間中ずっとそこで寝て、暴力親との緊迫したやり取りも時折ある、という状況だった。
だから、子供らしくリラックスしている隙がないし、学校で寝る生活になってから同世代の友達付き合いもなくなって孤独な訳だ。なんだかいつ凶悪事件を引き起こしてもおかしくない程、捨てばちなところもある鬱屈とした少年だった気がする。

e0296801_00252120.jpgそこにさらに就活旅行の前後の経緯を機に、私の中の既存社会への不信感が高まった。親父が「日本にいる限り、東京だろうが北海道だろうが、どこに行こうが俺の目の黒いうちはお前一人の先行きはどうとでも出来る」と豪語したのも大きかった。
そこで日本に居てはダメだ、と確信し、追い詰められた若い心の強情さと少年らしいシンプルさで「じゃあ、アメリカに行こう」と決心したのだった。

私の人生に立派で他人の参考になるようなものはない。
正規のルートで留学するのでもなく、英語力もなかったから自殺行為に等しかった。家族の前から失踪する目的もあって、つてもなく渡ったアメリカであって、私は向こうで中国人の世話になりながら不法就労し出すなど、アウトサイダーな人生がそこから始まっただけだ。

でも、愛知県の土地柄の特殊性とか、当時は外の世界と比べてよく理解出来ていなくて、事態の経緯を第三者に整理された言葉で伝える術が分からなかった。それも手伝って高校を卒業するなりアメリカに逃亡する、というとんでもない展開のスタートラインに、実は就活の面接練習でヘソを曲げた、なんて偶発的な要素が大きく関与していた、というところは上手くつなげて語る機会もなく、長い年月が経っていた。

しかし改めて考えてみると、特殊過ぎて共感されもしないだろうから語るに値しない、と思っていたような私の体験の中にも、普遍的なテーマが含まれていたのだな、と分かる。
29年前の田舎の特殊な家庭環境の少年も、今の時代に普通の家庭で育ち大学進学している若者も、日本はその絶大な開きを飛び越えてずっと似たような問題に直面していると思う。それって、凄い話だ。

誰のための人生なんだろうか。
人生は個人個人が自分で切り開いていくものであって、教育や社会がそれをサポートする事で希望ある未来を積み重ねていける。それは別に綺麗事でもなくて、至って単純な道理のはずなのだ。
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by catalyticmonk | 2018-07-02 00:15 | 自己経歴 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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