人間存在の自由尊厳と政治制度の関係性について

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「制度」や「ルール」というものの捉え方について、私は日頃から既存の左翼運動や国内リベラルの文化風潮に大きく違和感を感じているので、そこを改めて言葉にしてみた。

うるさがた相手に議論を吹っかけているのではない。正直、相手にもしたくない。
ただ、ここに書いてあるような側面について違和感を感じている人々に向けて、思いを整理してみた。別に求めているものはそこじゃないよね、と。


人間は完璧じゃないから。
必ず過ちを犯す存在だから。
だから、完璧な「制度」なんて作りようがない。
作った「ルール」も、ずる賢い連中が何かしら抜け道を考え出して、またそれを盾に、自分達のエゴや思惑で他者を操るように利用し出す。

それでも人間はより良い社会を諦める訳にはいかない。だって、実際に死活問題なのだから。

そこで必要なものは、本当は社会全体の「文化度」なんだと思う。
だけれど、その「文化度」が発展し、自由闊達に柔軟性を持っていろんな事態に対処していけるような、そういった意味での暫定的な取り決めを作っていく事は大切なのだろう。それが終わる事のない政治の課題でもあって。
永遠に改変する必要のない解答があるなら、政治はコンピューターにでも任せておけばいい。でも、そうではない訳だ。


左翼の人達って、基本的な傾向として、絶対的な正義がどこかにあって、それを全ての人が守ればいい、と思っているところがある。
でも、それは愚かしいし、自らのルーツとも大きく矛盾している。マルクスは弁証法的に物事を不断の努力で捉えていく事を説いた。自分の理論さえ、時代時代、その場の状況によって、乗り越えられていくべきものだ、とはっきり言っていた。それが、マルクスの思想家としての器の懐深いところでもある。
だけれども、そのマルクスを信奉したり、そうした思想運動によって広がった潮流の左翼文化の趨勢は、青臭い青年期の若者のように迷妄で、擬制社会主義国家という体裁の専制的全体主義社会を生んで、その結果自滅していった。

自分達では「私達は市民派・リベラルなだけであって、特に左翼運動に特化しているのではない」とするような人達の中にも、やたらとエキセントリックで厳しく、偏狭かつ独善的で、息の詰まるような人々が多くいる。

左翼運動は、宗教権力が衰退し、産業革命と資本主義経済の勃興によって人間社会が地球規模で激変し始めた時期に、その時点で人智が理性によって到達出来る最善の判断と、その可能性を提示したので、特に20世紀に世界の歴史を大きく動かした。
しかし、実際に生み出された政治制度、文化は、人間存在への理解が色々と欠けた偏狭なもので、世襲制資本主義とも言える勢力の頑強さもあり、十分な試行錯誤の余地もないまま、そこを乗り越えられず衰退した。

日本では、リベラルの影響力が極小のマイノリティーなので、結果的に現政権や政府、既存の権力層へのカウンターの立場を取ろうとした場合に、必然的にそういう左翼文化の偏狭な部分を継承しているような人種との接点が増え、またその狭い世界の中で彼らの干渉も受けやすい。
でも、そんな文化に未来はない。
一般市民が政治に興味を失ってしまった事の大きな原因は、既存の権力層が盤石に揺るがない現実に対する諦めの感情と同じくらいに、そうした感情を増幅させるような運動の高慢ちきで共感し難い姿の影響があった。

だから不満があっても社会的関心への思いが行き場を失って、まず個々人が既存の社会の中でなんとか上手く行く抜く事を優先事項とせざるを得ない流れが生まれ、それは経済競争という名の倫理なき弱肉強食のサバイバルゲームに、十分な規制をかける抑止力の低下にもつながって、今のような腐敗した世界がある。

ただ同時に、人間存在の自由尊厳を守る視野を持って、無秩序な経済競争にブレーキをかけ得る潮流が生まれてくるのなら、それが過去の左翼運動なり宗教哲学なり、何の集団や思想を母胎として出てこようが、それこそまたレッテル貼りなど無用だ。


「ルール」や「制度」の改善は必要だ。
しかし、「ルール」や「制度」を「掟」ではなく、発展性のある未来への暫定的な礎として見なす事。その視点がないと、新たな人間抑圧のシステムが生まれるだけだ。
それは神聖な、唯一絶対で普遍の正義を記した「掟」を作って、他の人々がそれにひれ伏していけばいいようなものでは断じてない。我々人間が、人間らしく、自由闊達に柔軟性を持っていろんな事態に対処していけるような基盤を作り、文化としてそれを押し広げていける土台でなければいけない、と私は思う。

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by catalyticmonk | 2018-07-30 00:17 | 希望社会 | Comments(0)


溢れ出る部分を勝手にやっています。異端者のあなた、多分私はあなたの味方か仲間です。 河元玲太朗


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